著者
松崎 文昭 吉野 修之 梁木 利男 松本 俊 中島 英夫 西山 聖二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.291-298, 2000-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10

化粧品において皮膜剤として用いられてきたエチルセルロースについて, その両親媒性構造に着目し, 乳化剤としての可能性を検討した。種々の油分を用いて乳化を試みた結果, エチルセルロースが極性油をW/O乳化可能であることが見出された。蛍光ラベル化したエチルセルロースを用いた評価系の結果から, エチルセルロースは界面に吸着層を形成すると同時に連続相に構造体を形成することで, W/O型エマルションを安定化することが示唆された。このエチルセルロースを用いたW/O型エマルションは, イソステアリン酸とカルボキシメチルセルロースNaの添加によりさらに安定化し, 化粧品として要求されるレベルまで安定化できることがわかった。本基剤の特長は, 従来乳化が困難であった極性油を安定にW/O乳化できる点にあるため, サンスクリーン剤への応用を次に試みた。この結果, エチルセルロースは乳化剤として作用し, エマルションが調製されると同時に, 塗布後は皮膜剤として作用し, 高い耐水性を与えることが示された。