著者
尾沢 達也 西山 聖二 堀井 和泉 川崎 清 熊野 可丸 中山 靖久
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.276-288, 1985 (Released:2010-06-04)
参考文献数
15
被引用文献数
3

皮膚保湿に於ける保湿剤の役割について, In Vitro, in Vivoでの検討を行なった。モルモットの角質層を用いた力学的検討の結果及びヒト皮膚を用いたIn Vivoの物理化学的, 生物化学的検討の結果, 次のことが知られた。(1) 皮膚保湿にとって水-保湿剤-油及びそのバランスは極めて重要であり3者は相乗的に機能を発揮する。(2) 保湿剤は皮膚保湿に重要な役割を演じており, 特に高分子系の保湿剤 (ヒアルロン酸などのムコ多糖類) と比較的低分子系の保湿剤 (グリセリン等のポリオール類やピロリドンカルボン酸などのNMF成分) の組合わせが, 相乗的に好結果を与える。(3) 理想的な組み合わせの皮膚保湿製剤は単なる物理化学的変化に止まらず, 皮膚に生物化学的変化をもたらすことを認めた。皮膚保湿製剤のモデルは皮膚保湿機構にあると解釈された。
著者
西山 聖二 熊野 可丸
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.487-496, 1989-08-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
30
著者
松崎 文昭 吉野 修之 梁木 利男 松本 俊 中島 英夫 西山 聖二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.291-298, 2000-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10

化粧品において皮膜剤として用いられてきたエチルセルロースについて, その両親媒性構造に着目し, 乳化剤としての可能性を検討した。種々の油分を用いて乳化を試みた結果, エチルセルロースが極性油をW/O乳化可能であることが見出された。蛍光ラベル化したエチルセルロースを用いた評価系の結果から, エチルセルロースは界面に吸着層を形成すると同時に連続相に構造体を形成することで, W/O型エマルションを安定化することが示唆された。このエチルセルロースを用いたW/O型エマルションは, イソステアリン酸とカルボキシメチルセルロースNaの添加によりさらに安定化し, 化粧品として要求されるレベルまで安定化できることがわかった。本基剤の特長は, 従来乳化が困難であった極性油を安定にW/O乳化できる点にあるため, サンスクリーン剤への応用を次に試みた。この結果, エチルセルロースは乳化剤として作用し, エマルションが調製されると同時に, 塗布後は皮膜剤として作用し, 高い耐水性を与えることが示された。