著者
金子 勝之 山崎 亮太 藪 李仁 曽山 美和 熊野 可丸 金田 勇 梁木 利男
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.8-13, 2001-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9

ポイントメーキャップにおいて爪化粧料は, 口紅に次いで主要なアイテムとして使用されている。さらに近年, ネールサロンやネールアートの台頭で, その使用者はますます増加し, 重要な化粧料に位置づけられてきている。このネールエナメルに求められる特性として, 「乾きが速い」「はがれにくい」「仕上がりが均一でつやに優れる」「爪に優しい」「つやや仕上がりの持続」等が挙げられ, その中で特に「乾きの速さ」に関する要望が強く, 常に求められる機能の上位に挙げられてきた。これに対し, 溶剤の揮散により被膜を形成する速乾性タイプのものが種々上市されてきたが, 塗布後の仕上がりの美しさが損われることから, これ以上の乾燥速度の短縮は困難とされていた。今回は「エナメルが乾く」という現象をまったく新しいユニークな発想で捉え, ネールエナメルの乾燥時間を飛躍的に短縮し, 超速乾性を実現した「水で乾かすエナメル」の技術開発を例に速乾性エナメルについて概説する。
著者
松崎 文昭 吉野 修之 梁木 利男 松本 俊 中島 英夫 西山 聖二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.291-298, 2000-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10

化粧品において皮膜剤として用いられてきたエチルセルロースについて, その両親媒性構造に着目し, 乳化剤としての可能性を検討した。種々の油分を用いて乳化を試みた結果, エチルセルロースが極性油をW/O乳化可能であることが見出された。蛍光ラベル化したエチルセルロースを用いた評価系の結果から, エチルセルロースは界面に吸着層を形成すると同時に連続相に構造体を形成することで, W/O型エマルションを安定化することが示唆された。このエチルセルロースを用いたW/O型エマルションは, イソステアリン酸とカルボキシメチルセルロースNaの添加によりさらに安定化し, 化粧品として要求されるレベルまで安定化できることがわかった。本基剤の特長は, 従来乳化が困難であった極性油を安定にW/O乳化できる点にあるため, サンスクリーン剤への応用を次に試みた。この結果, エチルセルロースは乳化剤として作用し, エマルションが調製されると同時に, 塗布後は皮膜剤として作用し, 高い耐水性を与えることが示された。
著者
宮沢 和之 金田 勇 飯塚 直美 梁木 利男 植村 雅明
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.301-308, 2003
被引用文献数
1

毛髪にハリコシを付与する方法として毛髪自体の育成を助ける生物学的アプローチと, 外部からある基剤を塗布して補強する物理的アプローチが考えられる。前者は軟毛の悩みを根本的に解決できる可能性があるが, 効果が得られるまでに長期間を要する, 効果に個人差がある, などの課題がある。一方, 後者は即効性はあるものの通常洗髪などにより効果が失われるなど, 持続性に乏しいため毎日の適用が必要となる。そこで即効性に優れ, しかもその効果が長期的に持続するハリコシ向上トリートメントの開発を目的として検討を行った。本基剤に求められる基本的条件として, 1. 優れた耐水性, 2. 1本1本の毛髪を独立してコートできること, の2点が挙げられる。そこで耐水性の付与を目的としてアルコキシシランの縮合反応によるネットワーク形成を利用し, 極性をコントロールすることで毛髪への付着性を向上させ, 1本ずつの毛髪を均一な皮膜でコーティング可能な基剤とした。さらに毛髪上に形成される皮膜の強度, 平滑性を検討し, 優れたハリコシ付与効果と良好な使用性を併せ持つへアトリートメントとすることに成功した。