著者
大関 好明 本田 充 首藤 健一 信永 利馬
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.616-621, 1991-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

ヒキガエル中毒は多くの臨床家が経験しているものと推察されるが, その実態は明らかでない. かかる観点から今回, 犬におけるヒキガエルによる実験的中毒を試みた.供試犬は臨床上健康と思われた9頭で, 捕獲した野生のヒキガエルを摂食および噛齧させ, のち経時的に観察した.摂食犬は, ヒキガエルの大小や犬の体重等に関わりなく摂食約60分後に2頭, 10時間-12時間の間には全例に嘔吐が認められ, のちにNo.7を除き次第に正常に復した.いっぽう, 生体を噛齧した2頭はその直後に流挺, 頭振等のジギタリス様中毒症状を呈し, のちに次第に正常に復した. 一部供試犬の摂食前, 後の血液学的変動は, ほぼ生理学的変動の範囲内の変化であった. さらに剖検による炎症の程度は個体により異なったが, 小腸炎が全剖検犬の88.8%(8頭/9頭) に認められた.
著者
安斎 孝之 樋口 博夫 茂木 国男 庄司 典嗣 吉野 豊 大関 好明 信永 利馬
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔 (ISSN:02852209)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.11-18, 1981-04-01 (Released:2010-09-09)
参考文献数
12

今回, エソトノックス麻酔器を用いて, アネソキシン-50を吸入させ2, 3の実験用動物種のbehaviorに対する影響について観察し, 更にイヌにおいては一般所見, 血液性状, 血液ガスに及ぼす影響について検討した。1.behaviorについては, イヌでは吸入中は体動がなく催眠効果が認められたが外科的深麻酔状態が得られなかった。日本家ネコ, カニクイザルにおいては数分間~10数分間にわたって催眠効果が見られたに過ぎなかった。マウス, ラット, 文鳥においては全くbehaviorに変化は認められなかった。2.臨床所見では心拍数において吸入開始後減少する傾向が認められた。3.血液分のうち, 赤血球数, 白血球数, ALb, Hb, クレアチニン, BUN, sGPTなどについては, 経時的に著変が認められなかった。4.ヘマトクリット値においては, 硫酸アトロピンのみの前処置群で吸入中の減少傾向が認められた。5.血糖においては, 吸入中の上昇傾向が見られ, 特に吸入開始後20分で顕著であった。なお吸入用のgasmaskのsettingにおいても上昇が認められた。6.血液pHおよび血液ガスにおいては, 軽度の血液pH液の低下傾向とPCO2の上昇が見られ, 呼吸性acidosisの様相を呈した。またPO2で有意の上昇が見られ, 特にPaO2において吸入開始後20分より160mmHg以上の顕著な上昇を示した。以上述べたとおり, アネソキシン-50の吸入によりコンベレン前処置群においても非前処置群においても生体に何らかの影響を与えることは避けられないが, その影響は軽微であり, 臨床において使用する上で危険と思われる所見は認められなかった。