著者
毛受 松寿 仙誉 軍一 吉野 邦英 平出 星男 村上 忠重
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.281-289, 1978-04-01
被引用文献数
2

胸部食道癌切除後の食道再建には胃や結腸が利用されることが多く, 空腸による再建術は実施されることが少ない. われわれは新しい観点から空腸による食道再建術を検討してきたが, 臨床例が38例に到達したので, われわれの行っている空腸による再建型式, 拳上空腸脚作製上の問題点, 胸骨柄切除胸骨後再建経路の作製法, さらに胸骨縦切による胸骨後経路, 吻合法ならびにその補強法, 術後管理の問題点について述べるとともに, 胸骨柄切除胸骨後経路による空腸利用の食道再建術は優秀な術式であるとの確信を得たのでその大要を報告した.
著者
出江 洋介 吉野 邦英 河野 辰幸 永井 鑑 長浜 雄志 三宅 智 中村 正徳 奈良 智之 遠藤 光夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.8, pp.1979-1983, 1994-08-01
被引用文献数
2

症例は21歳の男性.平成4年8月より嚥下困難,吐血が出現し,平成5年1月8日呼吸困難のため緊急入院.内視鏡では食道入口部直下から白苔に覆われた易出血性の隆起性病変を認めたが生検では壊死組織および真菌であった.胸部CTでは縦隔内に内部の不均一な腫瘤影を認めた.Open biopsyにより,食道の筋原性腫瘍が疑われたため1月26日,右開胸開腹食道亜全摘経後縦隔胃管再建術を施行した.Ao,N(-),Mo,Ploであった.切除標本では,13.0×7.5×3.2cmの有茎性腫瘍で,組織学的に平滑筋肉腫と診断した.術後3か月で右頸部,上縦隔,右肺,右胸膜に再発し化学療法と放射線療法を行った.一部に効果も認められたが急速に増大し術後6か月目に呼吸不全により死亡した.本例は本邦における食道平滑筋肉腫報告例では最年少であり診断と治療を中心に考察を加えた.