著者
名取 通夫 土佐 寛順 田中 伸明 川俣 博嗣
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.419-424, 1996-11-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
7

「朮」は大きく白朮と蒼朮に分類され, 白朮は利水・補剤として, 蒼朮は発汗・除湿剤として用いられてきた。しかし, 実際に白朮と蒼朮を入れ換えることにより, 自覚症状がいかに変化するかは検討されていない。今回我々は, 漢方方剤中の白朮と蒼朮を4週間ごとに入れ換えて処方検討することにより, 以下のことを明らかにした。1) 関節痛がある症例では蒼朮を用いた方が有効率が高い。2) 有効例では「飲みやすい」と答えた人が60%で,「飲みにくい」と答えた人はわずかに9%であり, 味覚が効果判定の一つの指標になり得る。
著者
長坂 和彦 引網 宏彰 名取 通夫 川崎 武志 寺澤 捷年
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.9-15, 2001-07-20
被引用文献数
1

今回,当帰四逆加呉茱萸生姜場加附子を酒煎することを指示し,良好な結果を得た症例と中毒症状を来した各一症例を経験したので報告する。症例1は46歳,女性。夜間寒さで目覚め,一度目が覚めるとストーブにあたりながらドライヤーで肩から腕を温めないと眠れなかった。そこで,酒煎(水:酒=1:1で煎じる)を指示したところ,冷え症が改善して夜間の覚醒がなくなった。症例2は65歳,男性。2年前より多関節痛,腰痛があり,冷え症も強くなってきたため受診した。当帰四逆加呉茱萸生姜場加烏頭で足が温まるようになった。さらなる効果を期待して,酒煎を指示したところ,内服25分後に舌のしびれを自覚した。附子中毒と考え服用を中止した。清酒は性大熱にして,陽気を助ける作用がある。これは附子の作用と同じである。当初は,附子と清酒中のアルコールの相乗効果で作用が高まると予想した。しかし,清酒と同じアルコール濃度のエタノール液で煎じた場合は効果は高まらず,清酒による煎液のpHの低下が主因であった。