著者
星 正治 中野 正博 牧 孝 鬼塚 昌彦 長 哲二 上原 周三 小西 圭介 豊原 不可依 名越 智恵子 高本 望 豊島 耕一 吉村 厚 吉永 春馬
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.67-73, 1984-03-01

π-中間子を用いて癌の放射線治療を行う場合に必要な, 照射中に患者の体外がらπ-中間子の停止領域(付与線量のピーク領域)を観測する方法(モニターの方法)を議論した. π-中間子が停止したスターを生成する領域からπ原子X線やχ線,中性子が放出されこれらの放射線は照身中の患者の体外で検出できる. 実験では正常の生体等価物質としての水ファントムを用い, π-中間子の到達深度を変えて照射した. π-中間子による核反応に伴うγ線はNaI検出器と同時計数回路を用いて測定した. こうしたy線測走法は深部線量分布のピークと照射すべき患部が一致していることを確めるのに有効であることが分った. 更に正確に患者の体内での深部線量分布のピークの位置ぎめにこの方法を用いる為には, 多孔コリメーターの付いたシンチレーションカメラなど用いることが有効であることが示唆される.(1983年11月15日受付)