- 著者
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小川 晃一
高田 潤一
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.6, pp.852-865, 2000-06-25
- 被引用文献数
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43
本論文では, ホイップアンテナと板状逆Fアンテナによって構成された携帯電話用ダイバーシチアンテナについて, それを所持する人体の電磁的影響を考慮して求められるブランチ間相関及び実効利得性をπ/4シフトQPSKの相関係数及び不等中央値として使用することにより, アンテナ特性が影響するシステム利得である移動局のダイバーシチ利得とアンテナ実効利得の両者を同時に評価する指標として, ダイバーシチアンテナ利得(DAG:Diversity Antenna Gain)を新たに導入し, 携帯電話用ダイバーシチアンテナの実効性能と外部環境, アンテナ構成パラメータ及び人体の影響を定量的に評価した.ダイバーシチ合成法としては, 現行ディジタル携帯端末(PDC方式)に用いられている高周波段での切換合成の上限特性を与える検波後選択合成受信(遅延検波), 及びより高い性能が期待できる最大比合成受信(同期検波)の2通りについて解析した.900MHz帯において, ホイップ長, 鉛直方向からの傾き角, 人体と端末の距離, 到来波の状況とダイバーシチアンテナ利得の関係を解析し, これにより, 携帯電話用ダイバーシチアンテナの使用状態における実効性能を調べ, 高いアンテナ性能を得るための条件を具体的に示した.