著者
呂 耀卿
出版者
日本医真菌学会
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.24-31, 1987 (Released:2009-12-21)
著者
呂 耀卿
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会雑誌 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.179-185, 1990
被引用文献数
2

発達した医療体制の下で,人々の寿命は延び,糖尿病・自己免疫病なども上手に管理されて,高年者を含む免疫力低下あるいは不全の人口が殖えつつある.従って真菌症を含めての感染症は減らず,稀な菌種による感染さえ見るようになった.この趨勢は台湾にも見られ,ここ三年間の数多い症例の中から,皮膚病変を伴う珍らしいと思われる9例を紹介する.全例とも皮膚科医の報告したものである.Penicilliosis marneffei; cutaneous protothecosis; phaeohyphomycosis: Exophiala jeanselmei 2例,Alternaria sp.1例;congenital cutaneous candidiasis; cutaneous fusariosis; cutaneous aspergillosis; pemphigus foliaceus with cryptococcemiaであり,それぞれの病歴・現症・臨床検査的及び病理組織学的所見・菌学的検査結果・治療及び経過を説明し,特にそれぞれの推察され得る免疫学的背景を可及的に探索した.菌学的に興味のあるのはPenicilliosisとProtothecosisで,殊にdimorphismのある<i>Penicillium marneffei</i>は報告例が30例足らずで,主に東南亜からである.<br>発病の基礎的原因としては糖尿病・紅斑性狼瘡・天疱瘡あるいはステロイドの長期使用が主であるが,単に高年あるいは幼弱で免疫力が弱いと考えられるのもある.<br>治療はそれぞれ異なった薬や方法を用いているが,面白いことに全例成功しており,これが諸家の参考になれば幸いである.