著者
中川 淳一郎 李 兆亮 布施 貴司 室谷 卓 伏見 知浩 渡部 貴士 野村 文彦 田原 憲一 呉 教東 山吉 滋 小玉 尚宏 阿部 孝
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.613-616, 2008-05-31 (Released:2008-07-01)
参考文献数
22

小児の異物誤飲は日常的に遭遇する疾患であるが,通常多くの異物は自然排泄される。今回,大量誤飲されたおもちゃの磁石が消化管内でループを形成し,滞留した症例を経験したので報告する。患者は11歳,男児。既往歴:自閉症。10日くらい前から嘔吐,上腹部痛が出現し,近医で内服加療を受けていたが,症状が持続するため当院に紹介となった。来院時の腹部単純X線写真で,上腹部に多数の金属棒を認めループを形成していた。X線写真所見と異物誤飲の既往歴より,異物はおもちゃの磁石と考えられた。内視鏡下に胃に穿通した8本の磁石を除去した。小腸内に残存した6本の磁石は腹部X線写真で経過観察し,自宅退院後の第21病日自然排泄を確認した。複数個の磁石誤飲では,消化管の穿通・穿孔などをきたす危険な異物となりうるため,可能な限り内視鏡的摘出を試み,できない場合には厳重な経過観察を行うべきと考えられる。
著者
別府 真琴 土居 貞幸 呉 教東 藤本 憲一 谷口 積三
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.2127-2132, 1988-08-01

肝門部胆管癌手術症例11例につき検討を行った.11例のうち5例は姑息的内瘻術に終ったが,予後は平均12.8カ月(最長26カ月)で治癒切除可能症例が含まれていたことが示唆された.また切除例は6例で,乳頭浸潤型1例を除き,5例が結節浸潤型ですべてV因子陽性でStage IIIまたはIVであった.V因子陽性5症例中,4例は左または右の片側浸潤で,3例に血管浸潤側肝葉切除を施行し,そのうち左尾状葉合併切除を伴う左葉切除術(治癒切除)を施行した症例は6年8カ月後再発なく健在である.残り1例はV_3(Arh)で肝門部切除術,右肝動脈切断を行ったが,肝不全で失った.そして結節浸潤型5例全例が,ly_<1〜3>,pn_<2〜3>で,n(+)は1例であった.