著者
別府 真琴 土居 貞幸 呉 教東 藤本 憲一 谷口 積三
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.2127-2132, 1988-08-01

肝門部胆管癌手術症例11例につき検討を行った.11例のうち5例は姑息的内瘻術に終ったが,予後は平均12.8カ月(最長26カ月)で治癒切除可能症例が含まれていたことが示唆された.また切除例は6例で,乳頭浸潤型1例を除き,5例が結節浸潤型ですべてV因子陽性でStage IIIまたはIVであった.V因子陽性5症例中,4例は左または右の片側浸潤で,3例に血管浸潤側肝葉切除を施行し,そのうち左尾状葉合併切除を伴う左葉切除術(治癒切除)を施行した症例は6年8カ月後再発なく健在である.残り1例はV_3(Arh)で肝門部切除術,右肝動脈切断を行ったが,肝不全で失った.そして結節浸潤型5例全例が,ly_<1〜3>,pn_<2〜3>で,n(+)は1例であった.
著者
別府 真琴 左近 賢人 後藤 満一 疋田 邦彦 平井 健清 村井 紳浩 谷口 積三 吉本 信次郎 青木 栄三郎 上原 教良
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.269-274, 1979-04-01

1897年Dieulafoyは,胃上部の微小な孤立性粘膜欠損の底部において動脈が破裂する大量出血を経験し,Exulceratio simplex(以後Esとよぶ)と命名し報告した.以来欧州圏では,このような胃上部にみられる動脈性出血をEsと呼ぶようになったが,英語圏においてはEsについての報告はほとんどみられず,本邦においてもこのような症例がみられても出血性胃炎あるいは胃潰瘍出血としてとりあつかわれていると思われる.しかしこの病態は手術による止血以外に救命しえなく,保存的療法で止血しうる可能性のある上記2疾患とは臨床上はっきり区別してとりあつかい,適切な処置がなされる必要があると考えられる.著者らはEsと考えられる3例を経験したので報告し,その臨床的意義ならびに問題点について考察を加えた.