著者
松本 紗矢香 廣瀬 智也 服部 雄司 指月 海地 戸上 由貴 山吉 滋 水島 靖明
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.717-721, 2020-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
7

三環系抗うつ薬を含む薬物の大量服用による循環抑制に対しては,従来対症療法が行われてきた。静注用脂肪乳剤は,脂溶性の指標であるオクタノール/ 水分配係数(logP値)2以上の薬物中毒の治療法として近年その有効性が示唆されている。症例は49歳,女性,大量服薬による意識障害のため救急搬送となった。服用薬剤(logP値[実測値/ 理論値])はアモキサピン[不明/2.6]450mg,アミトリプチリン[1.9/5]90mg,トラゾドン[3.85/2.8]600mg などと推察された。薬物服用5時間後に血圧57/33mmHgまで低下し,輸液負荷とドパミン投与には反応しなかったが,20%脂肪乳剤250mLを静注後速やかに血圧84/41mmHgへ改善した。今回,三環系抗うつ薬などの大量服薬による循環抑制に対し,脂肪乳剤投与が有効であった1例を経験した。脂溶性薬物による中毒の治療法として,脂肪乳剤投与は考慮してもよい。
著者
辻本 裕一 藤田 昌弘 波多野 浩士 新井 康之 高田 剛 高田 晋吾 本多 正人 松宮 清美 藤岡 秀樹 布施 貴司 山吉 滋 安藤 正憲 西田 義記
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.407-410, 2008-06

12歳男。自転車走行中にバイクと接触し, 左側腹部痛を来たした。検査所見で白血球増加, 貧血, LDH・CK上昇を, CTで左腎上極の断裂と周囲の血腫形成を認めた。血管造影を施行し, 左腎上極へ分枝した動脈からの出血を認め, コイルによる選択的動脈塞栓術(TAE)を行った。しかし受傷後2日目に左側腹部痛増強と肉眼的血尿が出現し, 血管造影で同じ動脈からの出血を認め, 再度TAEを行った。受傷4日目も炎症所見と発熱が続き, 貧血が進行したためCTを施行した。血腫は縮小傾向であったが, 左上断裂腎からの尿漏を認め, 感染症の併発を考えて断裂腎に対するTAEを試みた。左腎上極へ分枝した動脈をスポンジセルを用いて塞栓したところ, 徐々に解熱, 炎症反応改善が得られ, 23日目のCTでは血腫縮小傾向を認めた。受傷5ヵ月目のCTでは断裂腎は萎縮し残存していたが造影効果は認めず, 血腫は完全に吸収され, 残存腎の機能は十分に温存されていた。尿漏や水腎症などもなく経過順調である。
著者
中川 淳一郎 李 兆亮 布施 貴司 室谷 卓 伏見 知浩 渡部 貴士 野村 文彦 田原 憲一 呉 教東 山吉 滋 小玉 尚宏 阿部 孝
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.613-616, 2008-05-31 (Released:2008-07-01)
参考文献数
22

小児の異物誤飲は日常的に遭遇する疾患であるが,通常多くの異物は自然排泄される。今回,大量誤飲されたおもちゃの磁石が消化管内でループを形成し,滞留した症例を経験したので報告する。患者は11歳,男児。既往歴:自閉症。10日くらい前から嘔吐,上腹部痛が出現し,近医で内服加療を受けていたが,症状が持続するため当院に紹介となった。来院時の腹部単純X線写真で,上腹部に多数の金属棒を認めループを形成していた。X線写真所見と異物誤飲の既往歴より,異物はおもちゃの磁石と考えられた。内視鏡下に胃に穿通した8本の磁石を除去した。小腸内に残存した6本の磁石は腹部X線写真で経過観察し,自宅退院後の第21病日自然排泄を確認した。複数個の磁石誤飲では,消化管の穿通・穿孔などをきたす危険な異物となりうるため,可能な限り内視鏡的摘出を試み,できない場合には厳重な経過観察を行うべきと考えられる。