- 著者
-
和田 和行
- 出版者
- 科学基礎論学会
- 雑誌
- 科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
- 巻号頁・発行日
- vol.18, no.3, pp.123-128, 1987-12-25 (Released:2009-07-23)
- 参考文献数
- 9
様相論理学, 或は哲学においては, 事態 (proposition), 個体概念 (individual concept), 可能的世界 (possible world) というような概念が問題とされる。通常の公理体系, 或はモデル理論においては, これらの概念, 特に事態や可能的世界は, 基本的 (primitive) なものとして扱われる。しかしこのような方法をとらずに, 他の概念を基本的なものと考え, それらに基づいて上記の概念に関する理論を構成すること, つまり, これらの概念を定義し, それから導かれる定理をのべることも, これらの概念の解明に役立つと思われる。そこでこの論文においては, 以下に述べる (公理的) 性質論PTCEにおいて, 性質, 必然性等の様相的概念を基本的なものとして, 事態, 完全個体概念についての理論を構成する。 (可能的世界に関しては, 別の論文に譲る。) なお, この論文における完全個体概念の定義は, 可能的世界のそれと同様, ライプニッツの考えに基づいている。従ってこれらに関する理論は, ライプニッツ哲学の再構成と見なすこともできるだろう。