著者
南波 広行 和田 靖之
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.456-461, 2008 (Released:2010-01-21)
参考文献数
12
被引用文献数
1

アデノウイルスは, 咽頭結膜熱や流行性角結膜炎などの原因ウイルスで, こうした感染症以外にも, 肺炎, 肝炎, 胃腸炎, 脳炎など多彩な病態をとることが特徴である。呼吸器感染症の病因として, アデノウイルスは全体の10%程度を占める。現在51の血清型が明らかになっている。国立感染症研究所が行っているサーベイランスからは, 3型の分離頻度が高く, 夏季に流行する咽頭結膜熱を除けば, 明らかな季節的偏りは認められず, 日常しばしば遭遇するウイルス感染症である。自然軽快する疾患がほとんどであるが, 1990年代後半には乳幼児におけるアデノウイルス7型による致死的な重症肺炎が多発した。幸いにも, 現在のところその流行は終息しているが, 14型や30型など他の血清型による重症肺炎の報告も散見される。迅速診断キットの改良により, その診断精度も向上しており, 一般外来での診断も容易になった。また, 比較的感染力が強く, 感染対策においても重要なウイルスである。
著者
和田 靖之 北島 晴夫 久保 政勝
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.33-40, 1998-02-28
参考文献数
16
被引用文献数
1

Shwachman症候群が疑われた1男児例を経験した.患児は軽度の膵外分泌機能障害を呈し,さらに末梢血好中球数の著明な低下がみられ,呼吸器感染症を反復していた.患児の好中球機能は<i>in-vivo</i>, <i>in/vitro</i>ともに遊走能に障害を認め,患児の好中球自体の障害と考えられた.入院後,さまざまなウイルス感染症に罹患した後,末梢血の好中球数が増加した.さらに患児の膵外分泌機能障害も徐々に改善がみられている. Shwachman症候群はわが国では稀な疾患であるが,本症例の経過よりわが国ではさまざまな亜型の存在も考えられた.