著者
川手 憲俊 吉川 裕亮 辻 誠 稲葉 俊夫 喜田 加世子 玉田 尋通 澤田 勉
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.99, pp.102, 2006

【目的】黄体形成ホルモン(LH)のレセプターは精巣や卵巣の細胞膜上に存在し、LHによるステロイドホルモン分泌の刺激を伝達する。同レセプターの遺伝子は、多くの動物種でクローニングされているが、イヌの性腺組織から完全長cDNAをクローニングした報告は見当たらない。そこで本研究では、イヌ精巣組織からLHレセプターcDNAのクローニングを行い、塩基配列を解析した。【方法】健常な成犬(グレートデンおよびポメラニアン種)の精巣からtotal RNAを抽出した。全長cDNAを5つの断片に分けて、クローニングを行った。5'側の断片1を除く4つの断片については、それぞれに上流と下流プライマーを作成して、RT-PCR法により各cDNAを増幅した。断片1については、5'RACE法を用いてクローニングを試みた。得られたPCR産物は塩基配列決定用ベクターに組み込み、塩基配列を解析した。【結果】イヌの精巣由来RNAから、LHレセプターcDNAの5'側の断片1を除く2123bpをクローニングした。今回クローニングした2123bpのLHレセプターcDNAについて、グレートデンとポメラニアンとの間に、塩基配列で99.9%、アミノ酸配列で100%の相同性がみられた。また、イヌの同レセプターcDNAの終止コドンまでの塩基配列は、ブタ、ウシおよびヒトとの間にそれぞれ91.9%、91.7%および90.3%の相同性がみられた。イヌの同レセプターのアミノ酸配列は、ブタ、ウシおよびヒトとの間にそれぞれ92.4%、92.3%および89.1%の相同性がみられた。今回増幅した断片2(レセプターの細胞外領域に相当する)において75塩基(アミノ酸にして25個)の欠失したスプライスバリアントを見い出した。【結論】イヌの精巣由来RNAから、5'側の一部を除くLHレセプターcDNA(2123bp)をクローニングできた。イヌ精巣のLHレセプターmRNAにおいて、他の動物種では報告されていない新しい種類のスプライスバリアントの存在が明らかとなった。
著者
川手 憲俊 玉田 尋通 稲葉 俊夫 喜田 加世子 玉田 尋通 稲葉 俊夫 喜田 加世子 パシラーナ インドニル ニシャンタ 田中 翔 芦 ゆきの
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、犬の潜在精巣の原因遺伝子・マーカー遺伝子を同定する目的で、潜在精巣に罹患した小型犬のエストロジェン受容体α遺伝子(ESR1)の一部(ESR1の3'側末端から70kbの領域の9ヵ所の多型を示す塩基)について解析し、正常例との比較を行った。その結果、ミニチュアダックスフンドとチワワの潜在精巣例の当該遺伝子領域の多型塩基は正常例と比較して顕著な差異はみられなかった。ただし、両側性潜在精巣例の同遺伝子領域の多型頻度は正常と異なっていたが、例数が少ないため、両側性例とESR1当該多型との関連性についてはさらなる検討が必要と考えられる。