- 著者
-
藤井 淑子
団野 源一
- 出版者
- Japanese Society for Food Science and Technology
- 雑誌
- 日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.10, pp.684-690, 1988-10-15 (Released:2011-02-17)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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4
2
6
鶏卵(全卵)と砂糖の等量を泡立てたフォームに種々の量の小麦粉または小麦デンプンを混和して,ケーキバッターをつくり,スポンジケーキの体積とその品質評価から,ケーキにおける小麦粉の役割を検討した.(1) 小麦粉を小麦デンプンに置き換えたケーキは,小麦粉のケーキに比べ,体積も大きく,内相のスポンジのきめも均一で細かくなり,より高い品質評価が得られた.フォームに小麦粉を重量比で1/2量(33.3%)混和すると,フォームの体積は52%に減少し,ケーキバッターの粘度は約5倍に増加した.しかし,同量の小麦デンプンでは,フォーム体積が78%に減少したに過ぎず,また,ケーキバッターの粘度の上昇も僅かであった.(3) オーブンの中でのケーキの高さと経時変化を測定した結果,最大の高さは小麦粉と小麦デンプンで著しく異なるが,ケーキバッターの高さに対する比は約2,5となり,その差は認められず,ケーキの体積は主として,ケーキバッターの体積で決まる結果となった.一方,焼き上げたケーキの体積を保つためには相当量のデンプンを必要とする.(4)小麦デンプンは水を添加しても凝集性がないため,小麦粉に比べてケーキバッターへの分散性が良く,フォームの破壊も少ないため,よりきめの細かいよく膨れたケーキが得られた,