著者
山本 宗一郎 三田村 啓理 黒川 皓平 國森 拓也 堀 正和 荒井 修亮
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.355-364, 2022-09-15 (Released:2022-09-29)
参考文献数
31

マコガレイ成魚30個体に水温・深度ロガーを装着し,2017年7月3日に周防灘姫島地先で放流して2個体から12-1月までのデータを得た。高水温となる9月の2個体の経験水温の最頻値は24-25℃(53.9-57.6%)であった。最高経験水温は27℃に達したが26℃以上の頻度は3.9-4.5%と低かった。深度データからは離底行動が観測され,連続した離底行動後に生息水深,生息水温,分布域等が変化した。よって,天然海域では26℃未満の水温帯で生息可能であり,離底行動は移動に関連していたと考えられた。
著者
岸岡 正伸 柿野 純 井上 隆彦 多賀 茂 和西 昭仁 白木 信彦 山崎 康裕 小野里 坦 國森 拓也 宮後 富博 齋藤 秀郎 鹿野 陽介
出版者
山口県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.13, pp.25-45, 2016 (Released:2016-10-20)

2011~2013年度にかけて,山口市秋穂湾の遊休化したクルマエビ養殖池(50×100m,面積0.5ha)を用い,池に施肥することで餌料生物を増殖させながらアサリを大量育成する手法を開発するため,年間300~600万個のアサリ人工種苗(殻長2mm)を池内に収容し,実証レベルの試験を行った。研究初年度は,施肥を行った直後からアオサの急激な増殖が見られ,2ヶ月の間に池の大半を覆った。このため移植した種苗の成長,生残とも極めて低かった。また,攪水機によって流速4cm/sec. 以上になる場所が成育場所として適していると考えられた。2年目以降,種苗池入れ前に池内の大型藻類や食害生物を可能な限り除去するとともに,日常管理として週3~4回,小型の底びき網で池全体を引き回し,夾雑物を排除しながら海底を攪拌した。3~7月にかけて,毎週200kg(海水トンあたり27g)の半有機肥料を池に散布することで,栄養塩の供給と微細藻類の増殖を維持することができた。この結果,2年目以降は池内での大型藻類の繁茂が抑制され,3月に平均殻長2mmで移植した種苗は60%以上の高い生残率で急速に成長し,7月に殻長20mmに達した。施肥した試験区と施肥しない試験区を設けてアサリの成長及び生残状況を比較した。その結果,施肥による成長促進効果は,無施肥による場合と比較すると6月以降に顕著に現れた。試験期間中に,魚類の卵稚仔や甲殻類の幼生などが多数侵入・成育したが,アサリを回収するまでの間,これらの魚介類がアサリを食害した痕跡はほとんど見られなかった。最終年度は,11ヶ月の育成期間中に,1m2あたり平均3kg(500万個,15.7トン)のアサリが成育し,事業として実施するのに十分な高い生産能力を有することを確認した。生産した20~25mm貝を県内のアサリ漁場に保護放流したところ,調査を実施した3箇所の干潟で成長や生残に違いが見られたものの,母集団としての機能は果たしていると考えられた。また,試験池で生産したアサリは,肥満度の上昇する4月~6月であれば,自然浜のアサリとほぼ同じ一般成分,コハク酸,遊離アミノ酸を含有していた。
著者
河野 光久 國森 拓也 馬場 俊典
出版者
山口県水産研究センター
巻号頁・発行日
no.15, pp.35-43, 2018 (Released:2018-06-15)
著者
河野 光久 國森 拓也 馬場 俊典
出版者
山口県水産研究センター
雑誌
山口県水産研究センター研究報告 = Bulletin of Yamaguchi Prefectural Fisheries Research Center (ISSN:13472003)
巻号頁・発行日
no.15, pp.35-43, 2018-02

山口県瀬戸内海は,西から周防灘,伊予灘及び広島湾の一部で構成される。本海域の大部分の水深は50m以浅で,西部の山陽小野田市以西では広大な干潟が形成されている。本海域に出現する魚類については,藤岡が1952年~1980年代の採集記録に基づき294種を報告しているが,その後総括的な報告はなされていない。また,瀬戸内海では1994年以降水温上昇に伴い,新奇暖海性魚類が増加していることから,最新情報を含めて魚類相の現状を明らかにしておくことは,今後の水温変動が魚類相や分布に与える影響を予測するために重要であると考えられる。そこで,本研究では山口県瀬戸内海域で確認された魚類に関する既往の文献のほか,著者らの未発表の調査資料を網羅的に整理し,山口県瀬戸内海産魚類目録を予報として報告する。