著者
園田 耕平 森山 徹 郡司 幸夫
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

知能情報学において、「車両感覚」は問題とされてきたが依然として漠としている。それは操作身体に関する感覚であるが、無脊椎動物のヤドカリが同様のメカニズムによって貝殻の大きさを知覚していることを著者らは実験的に示した(Sonoda et.al., 2012)。さらにその操作身体が車両に類するものでも可能ではないかと構想する。予備的な実験とともに「車両感覚」に関する知覚基盤について議論する。
著者
園田 耕平
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

本年度において国際動物行動学会(Behaviour2015)で行った研究発表は、オカヤドカリが貝殻の大きさを知覚するのに慣性モーメントを用いていることを明らかにした実験についてである。これは、無脊椎動物であるオカヤドカリが人間と同様に、「ダイナミックタッチ」を用いて身体の大きさを知覚していることを示唆するものである。以下、その意義についての説明である。これまでの研究により、ヤドカリが貝殻の大きさを知覚できることが明らかになった。これは人間における「車体感覚」に近いと考えられる。生態心理学においては自動車を用いた通過可能性[Shaw 1995]に関する実験が行われたが、申請者が行ったヤドカリの実験と直接に対応するだろう。車体感覚は日常経験からもわかるが、その知覚基盤は解明に至っていない。しかしながら、生態心理学のダイナミックタッチ[Turvey 1995]が有力な候補と考えられる。この概念は手に持った物体を振り、その振り方によらない普遍的な知覚情報として慣性テンソルを参照し、物体の形状を知覚するものである。そして、自動車の形状を広義のダイナミックタッチで知覚していることが考えられる。ヤドカリも貝殻を後脚で保持しており、歩行による振動を通してダイナミックタッチにより貝殻の形状を知覚しているといえる。本研究は、その可能性を実験的に示したものであり、動物行動学ならびに心理学において重要な成果といえる。
著者
児玉 謙太郎 園田 耕平
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

近年、認知科学分野でSynergyという概念が着目されている。Synergyとは、多自由度複雑系が、安定的な振る舞いを柔軟に組織化する事態を説明するために考案された概念であり、次元の縮減(微視的には多自由度な系が如何に自由度を減じるか)、相互補償(要素間の柔軟な相互作用関係)などの特徴をもつ。本発表では、運動研究等の事例を通しSynergyの現代的解釈を紹介し、内部観測理論との関連について論じる。