著者
川口 真規子 山中 裕佳子 土井 裕司
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.20, pp.39, 2008

<BR>【目的】<BR> 民間研究所による昨年のアンケート調査結果では、日本人の9割以上が週に1回以上麺類を食し、麺類が好きだと回答した人は99.3%にものぼる。本研究では、好きな麺類第2位である『うどん』のだしに含まれるうま味などの成分および麺の上に盛られる具材の地域差を調査し、日本の食文化の東西比較を目的とした。<BR>【方法】<BR> 関西地方を中心に、日本各地のうどん屋および食料品店よりうどんだしを収集した。だし中グルタミン酸(Glu)量はヤマサL-Glu測定キットを用いて定量した。核酸系うま味成分であるグアニル酸(GMP)とイノシン酸(IMP)はHPLCにより定量した。塩分濃度は電気伝導度計を用い、糖濃度はフェノール-硫酸法により定量を行った。さらに、文献及びうどん店HPに掲載されている写真をもとにうどんの具材の種類を調査した。<BR>【結果と考察】<BR> だし中Glu量は301~9,510mg/L、GMP+IMP量は33.8~483mg/Lの範囲にあった。うどんだし中のGlu量およびGMP+IMP量は各試料によって大きな差があり、旨味調味料の添加の有無によるものと推察された。糖濃度ならびに塩分濃度には地域による著しい差は認められなかった。具材調査の結果では、京都では京野菜や細かく刻んだ薄あげが、大阪では薄あげ(刻んでいない)や青ねぎが、関東では肉や白ねぎが多く使われていた。また香川ではレモンやすだちといった柑橘類が使用されていた。