著者
石井 禎基 崎田 正博 笹井 宣昌 笠松 大輔 米井 信二 福田 智之 土屋 禎三
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.16-23, 2013-02-20 (Released:2018-04-12)
参考文献数
24

【目的】大腿部における筋間連結の機能的役割をあきらかにする。【方法】標本として,ウシガエル膝伸筋の大腿三頭筋のうち前大腿直筋を除いた内側広筋と外側広筋の2筋を用いた。標本の支配神経分枝以外をすべて切断した坐骨神経に電気刺激を与えて,様々に筋長を変えたときの等尺性強縮張力を測定した。張力測定は,生体そのままの条件(連結条件)と標本をハムストリングスおよび股関節内転筋群から切り離した条件(切離条件)で施行し,それぞれの長さ-張力関係を比較した。【結果】「連結条件」の長さ-張力関係は,「切離条件」のそれよりも上行脚と下行脚の傾きが急であり,「切離条件」の曲線は筋長のより長い方へ移動していた。跳躍直前の筋長における収縮張力は「切離条件」の方が「連結条件」よりも最大収縮張力の約10%減少した。【結論】筋間連結の機能的役割のひとつとして,筋収縮特性の異なる複数の筋をより効率的に働かせて,膝伸筋出力を十分に発揮させることが示唆された。