著者
大沢 裕 坂内 正夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.1600-1601, 1988-09-12

筆者らは従来より図形の輪郭線をベースにした図面自動入力システムAI-MUDAMSの開発を行っている。予め全ての図形の輪郭線を追跡し折れ線近似(ベクトル化)しておき、以後の処理は全てこの輪郭線データを参照しつつ行うというものである。このシステムで処理の中心となるのは、線図形の輪郭線から、その中心線を求める処理(芯線化処理)である。芯線化は線的な図形部に対してのみ行い、線の交点部分や他の図形との接触部では芯線は途切れさせたままで扱う。図面の認識・理解、会話的な図形修正に際しては、この「芯線が途切れている部分には図形を理解する上で重要な特徴点が存在する」という性質を有効に利用している。芯線が途切れている部分の周辺の図形(即ち輪郭線の形)を詳しく調べるための演算としては、途切れた芯線の端点を中心としてある大きさの探査枠を設定し、この枠内に何本の輪郭線と芯線が存在するか、輪郭線の形はどの様になっているかを、順に追跡して調べるという方法を取っている。この演算は2次元的なベクトルデータの管理に適したBD木と呼ぶデータ構造を用いて全てのデータ管理を行い、演算をこのデータ構造上で行うことにより高速化している。しかし、問題は特徴的な部分を詳細に調べる時の探査枠の大きさを一意に決定することが出来ず、実際には数種類のサイズで試みることが必要になる。この繰り返しが処理時間の増大につながっている。
著者
森山 剛 坂内 正夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.J84-D2, no.6, pp.1122-1131, 2001-06-01

本論文では,テレビドラマ映像の心理的内容に基づいた要約映像の生成手法を提案する.従来の映像要約の研究では,カットなどの映像の構造を利用する方法やビデオ中のオブジェクトに基づく方法などがほとんどであった.一方テレビドラマに対しては,映像コンテンツの心理的な展開(盛り上がりなど)を視聴者は重要視していると考えられるが,映像の心理面に基づいた方法はまだ提案されていない.テレビドラマは,物理的構成要素としてトラック構造(カッティング,登場人物のセリフ,BGM,効果音)を有しているが,演出家などは特定の心理的な印象を表現するために経験的知識に基づいてその時間的構造を巧みに操作していると考えられる.そこで本研究では,この経験的知識に基づき,心理的に重要な箇所をそれに対応するトラック構造の時系列パターンとして検出し,要約映像を生成する手法を提案する.実験において本手法をテレビドラマ映像に適用した結果,約14分の1の時間長に圧縮でき,更に主観評価実験の結果,本編内容の保存性能及び切出しの自然性に関しても本手法の有効性が示唆された.