著者
豊平 由美子 坂巻 路可 李 暁佳 吉永 有香里
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

交感神経系モデルとしての培養ウシ副腎髄質細胞を用いて、ストレス軽減効果の有る予防薬や気分障害の治療薬として適用できる可能性があるポリフェノールを選定した。アピゲニン、オーラプテン、イカリソサイドAはニコチン性アセチルコリン(ACh)受容体刺激よるカテコールアミン(CA)分泌と細胞内へのCa、Naイオン流入を濃度依存性に抑制した。アピゲニンとルテオリンはチロシン水酸化酵素(TH)活性を濃度依存的に抑制した。イカリソサイドAはACh刺激によるCA生合成やTH活性を濃度依存的に抑制した。アピゲニンとイカリソサイドAはイオンチャネルの機能を阻害してCA神経系の機能を抑制することが示唆された。
著者
坂巻 路可 豊平 由美子 柳原 延章 外山 健二
出版者
西南女学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、赤ワインに含まれる様々なポリフェノール化合物のなかで、カテコールアミン神経系への作用を示すフラボノイド化合物について検討した。フラボノイド化合物であるシリマリン、ケンフェロール、ケルセチンは、ニコチン性アセチルコリン受容体、電位依存性Naチャネル、電位依存性Caチャネルのそれぞれ異なったイオンチャネルを阻害することによりカテコールアミン分泌を抑制することが示唆された。
著者
坂巻 路可
出版者
西南女学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ハルマンとノルハルマンはヘテロサイクリックアミンの一つでタバコ煙中や調理した食品中、酒等のアルコール飲料にも含まれ、代謝されるとアニリンと結合して変異原物質となり、DNA損傷性を著しく増強し癌化の原因となることが知られている。また、パーキンソン症候群様の振戦や幻覚症状を引き起こすことや、それらを含むパッションフルーツのサプリメントによる鎮静作用も報告される等、神経系への影響も示唆されている。本研究では昨年度に引き続きβ-carboline化合物のカテコールアミン神経系への作用についてウシ副腎の初代培養細胞を用いて検討した。(1)Norharman≒Harman>Harmine≧Harmaline>Harmolの順でβ-carboline化合物はアセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌を抑制した。(2)Norharmanはニコチン性アセチルコリン受容体刺激や電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌、Ca influxとNa influxをいずれも濃度依存的(10-100 μM)に抑制し、電位依存性Caチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌とCa influxは100 μMでのみ抑制した。ニコチン性アセチルコリン受容体刺激による分泌反応抑制は非拮抗阻害であった。(3)Norharmanはカテコールアミン生合成を濃度依存的(10-100 μM)に抑制した。(4)Norharmanはアセチルコリンによるチロシン水酸化酵素の活性化を抑制した。この抑制作用はチロシン水酸化酵素ser40のリン酸化阻害によるものであった。以上のことから、ノルハルマンはニコチン性アセチルコリン受容体を介するNa^+,Ca^<2+>流入を阻害することにより、カテコールアミン分泌・生合成を抑制することが示された。