- 著者
-
坂本 多穗
- 出版者
- 公益社団法人 日本薬学会
- 雑誌
- ファルマシア (ISSN:00148601)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.11, pp.1084, 2018 (Released:2018-11-01)
- 参考文献数
- 2
閉経時における17βエストラジオール(E2)やプロゲステロンといった女性ホルモンの急激な減少は,更年期障害として多様な身体変化を引き起こす.その中に骨格筋や肝臓,脂肪組織といった糖代謝器官の機能低下が含まれる.骨格筋は全身のインスリン依存性グルコース吸収の大部分を引き受けており,その代謝機能の低下はインスリン感受性低下に直結する.一般的に,E2をはじめとする性ホルモンの効果は,核内受容体やGタンパク質共役型受容体を介した細胞内シグナル経路の活性化によると理解されている.ところが,最近Torresらは,E2がミトコンドリア内膜の物理化学的性質の変化を介して呼吸代謝に影響することを報告したので紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Mauvais-Jarvis F. et al., Endocr. Rev., 34, 309-338(2013).2) Torres M. J. et al., Cell Metab., 27, 167-179(2018).