著者
藤田 智子 坂本 有芳
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 共働き世帯が子の発達段階に応じた生活設計を行なうために必要なことを明らかにするため、子の発達に伴い、夫婦の家事遂行状況がどのように変化するのかを検討する。<br><b>方法</b> 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に居住する、末子が中学生以下の有配偶女性を対象に、Webアンケート調査を行い、得られた個票データを統計的に分析する。層化無作為抽出法を用い、株式会社マイボイスコムの登録モニターより、末子学齢別の就業率に応じた比例割り当てをおこなった。実施は2013年9月、有効回収数502人、有効回収率30.2%である。<br><b>結果</b> 末子学齢によって、夫婦の家事遂行状況がどのように変化するか、夫婦の「家事頻度」「夫の分担割合」「家事育児の外部化」、妻の夫への「家事促進行動」の単純集計、相関分析、分散分析により検討した。夫婦合計の家事頻度は長子よりも末子年齢による差がみられ、最も高いのは末子が0~2歳と小学4~6年生の時点である。夫婦合計家事頻度を100とした夫の相対頻度は12%であり、末子学齢が0~2歳のときに最も高いが有意な差はみられなかった。家事育児の外部化はほとんど行なわれていなかった。夫への促進行動をする妻は全体の半数程度であり、妻の促進行動が多いほど夫の家事分担割合は高かった。夫に対して家事促進行動をする妻には、家事・育児を外部化している、末子の学齢が低いという特徴がみられた。<br> なお、本研究は、お茶の水女子大学・社会連携室外部受託研究(代表者:石井クンツ昌子)の一部である「子の発達段階に応じたキャリア・デザイン研究会」(代表者:坂本有芳)の一環として実施した調査に基づく。