著者
坂本 謙司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.88_1, 2022 (Released:2022-01-01)

私が学生時代に受けた教えの中の1つに「剤」と「薬」の区別がある.「『剤』は主薬に添加物を加えて製剤化したものを指すが,基礎研究で用いるのは化合物そのものなので,例えば,学会抄録などにおいては『阻害剤』ではなく『阻害薬』と書くように」と指導された.元々の漢字の意味から考えて,私は化合物そのものを指す際には「○○薬」と書いていただきたいと考えているのだが,実際のところ,話はそんなに簡単ではない.例えば,有機化学で用いられる「酸化剤」は「酸化薬とは書かれない.これは英語の”agent”の和訳に「剤」を用いることからきているのではないかと思われるのだが,漢字の使い方1つとってみても,なかなか悩ましいものがある.
著者
坂本 謙司 森 麻美 中原 努 石井 邦雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.1, pp.22-26, 2011 (Released:2011-01-10)
参考文献数
84

網膜色素変性症は中途失明の3大原因の1つであり,本邦では緑内障,糖尿病網膜症に続いて中途失明原因の第3位を占めている.網膜色素変性症の原因は遺伝子の変異であり,常染色体劣性遺伝型を示すことが多い.網膜色素変性症の患者においては,網膜の視細胞および色素上皮細胞の広範な変性が認められ,自覚症状としては,初期には夜盲と視野狭窄が,症状が進行し40歳を過ぎた頃から社会的失明(矯正視力約0.1以下)に至る.しかし,本症の進行には個人差が大きく,中には生涯良好な視力を保つ患者も存在する.現在,人工網膜,網膜再生,遺伝子治療および視細胞保護治療などに関する研究が進められているが,本症の治療法は全く確立されていない.本総説では,代表的な網膜色素変性症の原因遺伝子と,それらに対応する動物モデルを概説し,さらにそれらの動物モデルを用いて得られた新たな治療法の開発の現状について紹介する.
著者
坂本 謙司 森 麻美 中原 努 石井 邦雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.137, no.1, pp.22-26, 2011-01-01
参考文献数
84

網膜色素変性症は中途失明の3大原因の1つであり,本邦では緑内障,糖尿病網膜症に続いて中途失明原因の第3位を占めている.網膜色素変性症の原因は遺伝子の変異であり,常染色体劣性遺伝型を示すことが多い.網膜色素変性症の患者においては,網膜の視細胞および色素上皮細胞の広範な変性が認められ,自覚症状としては,初期には夜盲と視野狭窄が,症状が進行し40歳を過ぎた頃から社会的失明(矯正視力約0.1以下)に至る.しかし,本症の進行には個人差が大きく,中には生涯良好な視力を保つ患者も存在する.現在,人工網膜,網膜再生,遺伝子治療および視細胞保護治療などに関する研究が進められているが,本症の治療法は全く確立されていない.本総説では,代表的な網膜色素変性症の原因遺伝子と,それらに対応する動物モデルを概説し,さらにそれらの動物モデルを用いて得られた新たな治療法の開発の現状について紹介する.
著者
坂本 謙司
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.711_1, 2019

昨年末,青春18きっぷを使って東北地方を旅した.その際,東日本大震災で甚大な被害を受けた三陸地方を34年ぶりに訪れた.津波により浸水した場所を示す多数の道路標識や,流されて更地のようになってしまった駅の跡地を目の当たりにし,想像を越えた被害の甚大さに足が震えた.今回の旅により,自分の身近で災害が起きる可能性を常に意識し,もしもの時にどのように行動すべきなのか議論することも,我々薬学部の教員にとって重要であることを再認識させられた.