著者
佐々木 寛文 内野 基 坂東 俊宏 松岡 宏樹 池内 浩基 冨田 尚裕
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.2902-2906, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

症例は28歳,男性.18歳時下血で発症の潰瘍性大腸炎,再燃寛解型,全大腸炎型.ステロイド抵抗性,難治性のために,分割手術として大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術,回腸人工肛門造設術を行った.初回手術後は良好に経過し,ステロイドを漸減していたが,術後第40病日に絞扼性イレウスを併発し,イレウス解除術を行った.術後第2病日より,正中創に急速に進行する壊疽性膿皮症,壊疽性筋膜炎を認め,ステロイド全身および局所投与を要し治療に難渋した.壊疽性膿皮症は腸管外合併症として知られ,大腸全摘により軽快することが多い.しかし自己免疫異常に関連し,術後にも出現することがある.診断,治療に難渋することがあり,文献的考察を加え報告する.
著者
桑原 隆一 池内 浩基 皆川 知洋 堀尾 勇規 佐々木 寛文 蝶野 晃弘 坂東 俊宏 内野 基
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.671-679, 2018-11-01 (Released:2018-11-30)
参考文献数
29

目的:クローン病(Crohn’s Disease;以下,CDと略記)は再発を繰り返す原因不明の難治性炎症性腸疾患であり,複数回の手術を必要とすることが多い.そこで当院で施行したCD腸管切除症例1,143症例の臨床的特徴,術後経過について検討した.方法:1974年9月から2014年7月までに当科で腸管病変に対して手術を行ったCD 1,143例,延べ手術回数2,001回を対象とし,臨床的特徴および再手術率などをretrospectiveに検討した.結果:男女比は827:316(2.6:1),初回手術時年齢は30.0(7~78)歳,病悩期間は20.4(2.5~43.2)年で初回手術時の病型は小腸型380例,大腸型104例,小腸大腸型659例であった.手術適応に関しては非穿孔型が604例(52.8%),穿孔型は539例(47.2%)であった.術後合併症(Clavien-Dindo III以上のもの)は66例(3.3%)に認め,そのうち縫合不全が45例(2.2%)と最も多かった.累積5年の再手術率は22.2%であった.再手術のリスク因子に関しては性別,初回手術時年齢,病型,病変部位,飲酒歴,喫煙歴は有意差を認めず,初回手術時の“肛門病変あり”のみに有意差を認めた(P=0.001).死亡症例は24例(2.1%)で癌死が16例と最も多かった.結語:累積5年の再手術率は22.2%で再手術のリスク因子は初回手術時の肛門病変の存在であった.死亡原因は癌死が多数を占めた.