1 0 0 0 OA ―大腸手術―

著者
内野 基 池内 浩基 堀尾 勇規 桑原 隆一 皆川 知洋 楠 蔵人 木村 慶 片岡 幸三 別府 直仁 池田 正孝
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.176-180, 2022-10-15 (Released:2022-11-15)
参考文献数
33

手術部位感染 (surgical site infection : SSI) の危険因子の一つに低栄養があげられる. その改善により合併症予防が期待できるが, 単独でのSSI対策よりもケアバンドル対策の方が有効である可能性もあり, 周術期管理プログラムとして行われることも少なくない. 今回, 本邦の消化器外科手術におけるSSI予防ガイドラインのクリニカルクエスチョンをもとに大腸手術における周術期代謝栄養管理について再考した. 結果的には大腸手術に限定しても周術期管理プログラムはSSI予防に有用であった. しかし術前炭水化物負荷の有効性やその他の周術期栄養管理対策に関してはエビデンス不足により言及できなかった. 大腸手術では閉塞性大腸癌や炎症性腸疾患など低栄養状態である病態も存在し, 個々に合わせた対策が必要である.
著者
桑原 隆一 池内 浩基 皆川 知洋 堀尾 勇規 佐々木 寛文 蝶野 晃弘 坂東 俊宏 内野 基
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.671-679, 2018-11-01 (Released:2018-11-30)
参考文献数
29

目的:クローン病(Crohn’s Disease;以下,CDと略記)は再発を繰り返す原因不明の難治性炎症性腸疾患であり,複数回の手術を必要とすることが多い.そこで当院で施行したCD腸管切除症例1,143症例の臨床的特徴,術後経過について検討した.方法:1974年9月から2014年7月までに当科で腸管病変に対して手術を行ったCD 1,143例,延べ手術回数2,001回を対象とし,臨床的特徴および再手術率などをretrospectiveに検討した.結果:男女比は827:316(2.6:1),初回手術時年齢は30.0(7~78)歳,病悩期間は20.4(2.5~43.2)年で初回手術時の病型は小腸型380例,大腸型104例,小腸大腸型659例であった.手術適応に関しては非穿孔型が604例(52.8%),穿孔型は539例(47.2%)であった.術後合併症(Clavien-Dindo III以上のもの)は66例(3.3%)に認め,そのうち縫合不全が45例(2.2%)と最も多かった.累積5年の再手術率は22.2%であった.再手術のリスク因子に関しては性別,初回手術時年齢,病型,病変部位,飲酒歴,喫煙歴は有意差を認めず,初回手術時の“肛門病変あり”のみに有意差を認めた(P=0.001).死亡症例は24例(2.1%)で癌死が16例と最も多かった.結語:累積5年の再手術率は22.2%で再手術のリスク因子は初回手術時の肛門病変の存在であった.死亡原因は癌死が多数を占めた.