著者
塚本 潔 池田 正孝 野田 雅史 山野 智基 小林 政義 濱中 美千子 馬場谷 彰仁 木村 慶 宋 智亨 今田 絢子 内野 基 池内 浩基 冨田 尚裕
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.450-456, 2018-04-20

【ポイント】◆根治性と機能温存の観点から,家族性大腸腺腫症に対して大腸全摘・J型回腸囊肛門吻合術が標準術式とされている.◆肛門側操作で確実な粘膜切除と括約筋温存を心がけることで根治性と機能温存が両立される.◆1期的手術や腹腔鏡手術の有用性が期待されるが,いまだ十分なコンセンサスを得たものではなく,専門性の高い術式であるという認識をもつことも必要である.*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画(Flash形式)を見ることができます(公開期間:2021年4月末まで)。
著者
佐々木 寛文 内野 基 坂東 俊宏 松岡 宏樹 池内 浩基 冨田 尚裕
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.2902-2906, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
19
被引用文献数
2

症例は28歳,男性.18歳時下血で発症の潰瘍性大腸炎,再燃寛解型,全大腸炎型.ステロイド抵抗性,難治性のために,分割手術として大腸全摘,回腸嚢肛門吻合術,回腸人工肛門造設術を行った.初回手術後は良好に経過し,ステロイドを漸減していたが,術後第40病日に絞扼性イレウスを併発し,イレウス解除術を行った.術後第2病日より,正中創に急速に進行する壊疽性膿皮症,壊疽性筋膜炎を認め,ステロイド全身および局所投与を要し治療に難渋した.壊疽性膿皮症は腸管外合併症として知られ,大腸全摘により軽快することが多い.しかし自己免疫異常に関連し,術後にも出現することがある.診断,治療に難渋することがあり,文献的考察を加え報告する.
著者
高山 哲治 五十嵐 正広 大住 省三 岡 志郎 角田 文彦 久保 宜明 熊谷 秀規 佐々木 美香 菅井 有 菅野 康吉 武田 祐子 土山 寿志 阪埜 浩司 深堀 優 古川 洋一 堀松 高博 六車 直樹 石川 秀樹 岩間 毅夫 岡﨑 康司 斎藤 豊 松浦 成昭 武藤 倫弘 冨田 尚裕 秋山 卓士 山本 敏樹 石田 秀行 中山 佳子
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.93-114, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
62

Cowden症候群/PTEN過誤腫症候群は,PTEN遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とする常染色体優性遺伝性の希少疾患である.消化管,皮膚,粘膜,乳房,甲状腺,子宮内膜,脳などに過誤腫性病変の多発を特徴とする.巨頭症および20歳代後半までに多発性皮膚粘膜病変を発症することが多い.ときに小児期に多発する消化管病変,自閉スペクトラム症,知的障害が診断の契機となる.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある.乳癌,甲状腺癌,子宮内膜癌,大腸癌,腎細胞癌などの悪性腫瘍を合併するリスクが高く,適切なサーベイランスが必要である. 本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう,基本的事項を解説し,4個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.
著者
松本 主之 新井 正美 岩間 達 樫田 博史 工藤 孝広 小泉 浩一 佐藤 康史 関根 茂樹 田中 信治 田中屋 宏爾 田村 和朗 平田 敬治 深堀 優 江﨑 幹宏 石川 秀樹 岩間 毅夫 岡﨑 康司 斎藤 豊 松浦 成昭 武藤 倫弘 冨田 尚裕 秋山 卓士 山本 敏樹 石田 秀行 中山 佳子
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.79-92, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
52

若年性ポリポーシス症候群は全消化管に過誤腫性ポリープである若年性ポリープが多発する,希少疾患である.SMAD4あるいはBMPR1A遺伝子の生殖細胞系列バリアントが原因として報告されている.約75%は常染色体優性遺伝形式を示すが,約25%は家族歴のない孤発例である.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある. ポリープの発生部位により全消化管型,大腸限局型,胃限局型に分けられ,胃限局型ではSMAD4の病的バリアントを原因とすることが多く,胃癌のリスクが高い.また,SMAD4の病的バリアントを有する症例では,遺伝性出血性毛細血管拡張症を高率に合併し,心大血管病変の定期検査も考慮する. 本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう, 基本的事項を解説し,3個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.
著者
山本 博徳 阿部 孝 石黒 信吾 内田 恵一 川崎 優子 熊谷 秀規 斉田 芳久 佐野 寧 竹内 洋司 田近 正洋 中島 健 阪埜 浩司 船坂 陽子 堀 伸一郎 山口 達郎 吉田 輝彦 坂本 博次 石川 秀樹 岩間 毅夫 岡﨑 康司 斎藤 豊 松浦 成昭 武藤 倫弘 冨田 尚裕 秋山 卓士 山本 敏樹 石田 秀行 中山 佳子
出版者
一般社団法人 日本遺伝性腫瘍学会
雑誌
遺伝性腫瘍 (ISSN:24356808)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.59-78, 2020 (Released:2020-09-25)
参考文献数
88

Peutz-Jeghers症候群は,食道を除く全消化管の過誤腫性ポリポーシスと皮膚・粘膜の色素斑を特徴とする希少疾患である.STK11遺伝子の生殖細胞系列の病的バリアントを原因とし,常染色体優性遺伝形式をとる.また,がん遺伝子パネル検査によって診断される可能性がある. 本症候群でみられる過誤腫性ポリープは小腸に好発し,ポリープが大きくなると出血,腸閉塞,腸重積の原因となる.初回の消化管サーベイランスは症状がなくても8歳頃を目安に行い,10〜15mm以上の小腸ポリープは内視鏡的ポリープ切除術を行う.消化管,乳房,膵,子宮,卵巣,肺,精巣などに悪性腫瘍の発生が認められ,適切なサーベイランスが必要である. 本診療ガイドラインでは,小児から成人にかけてシームレスに,正確な診断と適切な治療・サーベイランスが行われるよう, 基本的事項を解説し,4個のクリニカルクエスチョンと推奨を作成した.
著者
内野 基 池内 浩基 竹末 芳生 冨田 尚裕
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 = Journal of abdominal emergency medicine (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.1033-1039, 2012-09-30
参考文献数
19

潰瘍性大腸炎(UC)手術では貧血,ステロイド使用など手術部位感染(SSI)のリスクが高い。そこでUC手術でのSSI危険因子を検討した。【方法】創分類2のUC192手術症例のSSI危険因子について検討した。さらに創分類3,4を含む準緊急,緊急手術90症例のSSI危険因子についても検討した。【結果】創分類2では皮切部SSI12.5%,体腔/臓器1.6%であった。ASAスコア≧3(Odds ratio(OR):3.5,p=0.03),プレドニン総投与量≧10,000mg(OR:3.3,p=0.04)が皮切部SSIの危険因子であった。緊急,準緊急手術90例では皮切部SSI:31.1%,臓器/体腔SSI:6.7%であった。皮切部SSIの危険因子は術直前プレドニン≧50mg(OR:3.0,p=0.049),創分類≧3(OR:12.3,p<0.01)であった。また創分類≧3(OR:11.7,p=0.04),ハルトマン手術(直腸断端)(OR:15.7,p<0.01)が体腔/臓器SSIの危険因子であった。【結語】UC手術では高用量ステロイドが皮切部SSIの危険因子であった。体腔/臓器SSIの予防に緊急,汚染手術では粘液瘻造設を第1選択とすべきである。
著者
内野 基 池内 浩基 竹末 芳生 冨田 尚裕
出版者
Japanese Society for Abdominal Emergency Medicine
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 = Journal of abdominal emergency medicine (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.1033-1039, 2012-09-30

潰瘍性大腸炎(UC)手術では貧血,ステロイド使用など手術部位感染(SSI)のリスクが高い。そこでUC手術でのSSI危険因子を検討した。【方法】創分類2のUC192手術症例のSSI危険因子について検討した。さらに創分類3,4を含む準緊急,緊急手術90症例のSSI危険因子についても検討した。【結果】創分類2では皮切部SSI12.5%,体腔/臓器1.6%であった。ASAスコア≧3(Odds ratio(OR):3.5,p=0.03),プレドニン総投与量≧10,000mg(OR:3.3,p=0.04)が皮切部SSIの危険因子であった。緊急,準緊急手術90例では皮切部SSI:31.1%,臓器/体腔SSI:6.7%であった。皮切部SSIの危険因子は術直前プレドニン≧50mg(OR:3.0,p=0.049),創分類≧3(OR:12.3,p<0.01)であった。また創分類≧3(OR:11.7,p=0.04),ハルトマン手術(直腸断端)(OR:15.7,p<0.01)が体腔/臓器SSIの危険因子であった。【結語】UC手術では高用量ステロイドが皮切部SSIの危険因子であった。体腔/臓器SSIの予防に緊急,汚染手術では粘液瘻造設を第1選択とすべきである。