著者
小森 祥太 坪井 崇 鈴木 将史 中村 友彦 勝野 雅央
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001740, (Released:2022-07-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は71歳女性.63歳でパーキンソン病を発症し,66歳からウェアリングオフ,その後ジスキネジアも出現した.3日前からジスキネジアの増悪,前日から発熱あり,高クレアチンキナーゼ血症を認め入院.筋強剛を伴わず覚醒中に持続する重度ジスキネジアを認め,dyskinesia-hyperpyrexia syndrome(DHS)と診断した.全身管理と抗パーキンソン病薬の大幅な減量を行い,2週間で改善した.イストラデフィリンの過量服薬がDHSの誘因と考えられた.DHSは稀ではあるが致死的となり得る合併症であり,早期の診断が求められる.治療として,全身管理とともに抗パーキンソン病薬の減量が重要である.
著者
田中 康博 坪井 崇 レビット 順子 田中 まゆ 田中 教義 渡辺 宏久 勝野 雅央
出版者
保健医療学学会
雑誌
保健医療学雑誌 (ISSN:21850399)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.80-88, 2017-04-01 (Released:2017-04-03)
参考文献数
30
被引用文献数
1

要旨: パーキンソン病(PD)に対する言語療法はLee Silverman Voice Treatment®が嚆矢となり,その後に病態解明や治療法の開発が進んできた.本稿では,米国のParkinson Voice Project(PD 専門の言語治療クリニック)で行われている治療法を中心に紹介する.本施設ではPDにより低下した発声・発話機能の回復を目的とした個別療法と,改善した発声・発話機能の維持を目的とした集団療法の2つの治療プログラムが提供されている.いずれの治療法においてもPD患者が日常生活で良好な発話が保てるよう緻密に構想化されたアプローチのみならず,患者のモチベーションを高めるための創意工夫が随所に施されていた.