著者
角田 香澄 伊藤 正江 柵木 嘉和 坪内 美穂子 徳留 裕子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.164, 2006

【目的】近年、放課後の児童の生活習慣は、塾に通うなど以前に比べて大きく変化してきた。また、食の欧米化や生活習慣の変化にともない児童の嗜好性も変化してきた。食環境については、スナック菓子摂取量の増加、外食や調理済み食品、レトルト食品の使用等により、児童の嗜好性も変化してきたと思われる。学校給食の残食率は、嗜好性と同様に食環境と密接に関係しているといわれている。そこで、本研究では、主食に重点をおき、残食率と喫食環境との相互的な関係を知ることを目的にアンケート形式による、嗜好等の調査および喫食状況(残食率)を調査した。<br>【方法】現在の児童の嗜好を知るために愛知県一宮市の小学生3040名(男子1537名、女子1503名)を対象にアンケート形式による嗜好等の調査を行った。また、小学校給食の残食率の調査を行った。<br>【結果・考察】嗜好等の調査を「全国児童生徒の食生活等の実態調査」と比較した。全国調査の結果では、最も好まれる献立は、カレーライスであった。一宮市の児童も同様に、カレーライスを最も好むと答えた。嫌いな食品については、全国調査の上位10品目の結果は、その中の8品目が野菜であったのに対し、一宮市の児童も全国同様、野菜が上位をしめる結果であった。また、嫌いな料理の傾向も同様の結果が得られた。全国調査の嫌いな献立の1位は、野菜サラダであり、一宮市の児童も野菜の入った献立を好まない結果であった。2.米飯の月別残食率は、6月から9月にかけて高い傾向を示した。真夏などの暑さや湿度の影響を強く受けていると思われる。嗜好と残食率の関係については,好まれる献立である「カレーライス」について比較した。特にカレーライス時の残食率は5%と低いが,湿度が高く蒸し暑い時期には,8.7%と高い傾向を示した。給食の献立と気候は喫食状況に大きく関係する傾向が示唆された。
著者
平田 なつひ 伊藤 正江 坪内 美穂子 龍 祐吉 柵木 嘉和 三矢 誠 河合 清
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.147, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 愛知県の三河湾は、豊富な海産物が多くとれる。特に愛知県一色町は、えびせんべいの生産量が日本一といわれている。えびせんべいの歴史は古く明治中期頃から食べられるようになったといわれている。最初は、中国製のえびせんべいの原料として製造されていたのが始まりといわれており、天むすと呼ばれそれが元祖であるようだ。本研究では、地域の小学生を対象にして手焼きせんべい作りの体験学習を行った。体験を通して、地場産業であるえびせんべいの理解とその加工や流通等の食に関する理解を深めることを主な目的として行った。<BR><B>【方法】</B><BR> 愛知県一色町の小学生を対象に、平成元年から開始した。(平成14年~16年の3年間については、文部科学省の研究開発学校として生活総合学習の一貫として本企業は地域の支援として関わった。)体験学習として工場にて1.手焼き体験、2.栄養価を考えたオリジナルせんべい作り、3.地域の地場産業に関する話を行った。<BR><B>【結果考察】</B><BR> 1.手焼き体験では、手焼き調理の基本である決められた分量と手順があることを教えた。手焼きの技術である押しつける力についても体得させた。2.体得した技術や調理加工のコツをもとにオリジナルせんべいを作成した結果、しらすやねぎ入りせんべいなど栄養価を考慮したせんべいを焼こうとする動きが見られた。3.地域の地場産業に関する話を行った結果、働くことの意義ややりがいを理解することが出来た。このような地域の教材を通しての体験学習は、豊かな外部依存の日常生活を営む現代社会において、新鮮な目で地域の伝統文化や産業をみることが出来ると思われる。今後も地域の企業として食育に明確なテーマ性をもって関わっていきたい。