著者
坪川 紀夫 土田 秀世 小林 清高
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協會誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.280-285, 1993-05-20

多孔質のカーボンブラックであるポーラスブラック表面へのビニルポリマーのグラフト反応について検討した。粒子表面ヘラジカル重合開始基を導入する目的で, 細孔内ヘメタクリル酸メチル (MMA) とt-ブチルペルオキシ-2-メタクリロイルオキシエチルカーボナート (HEPO) とを吸着させた後, 重合を行うことにより, ペンダントにペルオキシ基を持つポリマー (poly (MMA-co-HEPO)) を細孔内へ保持した。このようなpoly (MMA-co-HEPO) を保持したポーラスブラックにより, スチレンやMMAの重合が開始され, 対応するポリマーが粒子表面ヘグラフトし, グラフト率は, 55~60%に達することがわかった。さらに, ポリマーをグラフトしたポーラスブラックは, グラフト鎖の良溶媒中へ長期間にわたり安定に分散することも明らかとなった。
著者
山内 健 坪川 紀夫
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

カーボンナノチューブ(CNT)は機械的強度に優れ、高い導電性と熱伝導性を有しているため、LSI配線への応用が期待されている。しかし、CNTは分子間力により凝集するため分散性に乏しく、ハンドリングが困難である。そこで、熱応答性高分子に着目して、熱応答性高分子をCNTにグラフトすることで、CNTへ熱応答性を付与でき、水中において低温では親水性により分散、高温では疎水性相互作用により凝集するスマートナノ材料の合成を検討した。得られた複合ナノ粒子は体温と同様の40℃程度の熱に応答して、溶媒中で分散と凝集を繰り返すことを見出した。さらにCNTは赤外光照射により発熱する性質を持つことを利用して、赤外光レーザーを照射してCNTを加熱することで、集積体の形成について検討した。その結果、赤外光レーザーによる局所加熱で、CNTを集積して、さらに2次元に配列することに成功した。