著者
城田 直子 島村 綾 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>慢性腎不全患者の食事管理では,低たんぱく米が利用されている.長期に食べるには,飯のにおいや味が重要である.市販の炊飯用低たんぱく米は,加熱方法や保存条件,喫食までの時間などを推奨している.本研究では,この低たんぱく米の保存条件をにおいの面より検討した.<br><b>方法 </b>冷凍保存を推奨している炊飯用低たんぱく米4種を用いた.開封直後または冷凍保存後,推奨されていない冷蔵で2週間保存した米を炊飯した.それを電気炊飯器で炊飯し,炊き上がり直後および室温放置30分した飯のにおいについて,ポータブル型ニオイセンサ(新コスモス電機株式会社)でにおいの強さを,におい識別装置(株式会社島津製作所FF-2A)でにおい成分を測定した.<br><b>結果 </b>一般の炊飯米のにおいでは,炊き上がり後のにおいが弱く,室温放置30分後のにおいが強くなった.これに対し,低たんぱく炊飯米では,室温放置でにおいは弱くなった.それらを冷蔵保存した炊飯米のにおいのピークレベル値は,1試料を除きさらに低い値を示した.保存条件によって,低たんぱく米のにおいは変化した.<br><b>考察 </b>低たんぱく米では,有機酸以外にトリメチルアミンや酢酸ブチルが検出された<sup>1)</sup>.冷蔵保存により,これらが変化した可能性がある.有機酸の臭気寄与が減少したのなら,飯臭が消えたことになり,別なにおいが増加した可能性がある.<br>1)城田ら:日本臨床栄養学会・協会総会第12回連合大会発表,10月(2014年).
著者
金澤 良枝 城田 直子 中尾 俊之
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.147-151, 2020 (Released:2020-03-28)
参考文献数
17

透析患者では高めの血清マグネシウム (Mg) 濃度が良好な予後と関連している. そこで血清Mg濃度が一定値以下の患者での食事からのMg補給に関し, 日常生活上でよく摂取される食品100品目のMg含有量と食品常用量当たりのMg量について検討した. また血液透析患者の標準的食事 (1,800kcal, たんぱく質60g) のモデル献立を動物性: 植物性たんぱく質比率別に合計30献立作成し検討したところ, たんぱく質の植物性比率60%の献立が同50%, 40%よりMg量が高く (358±47, 309±36, 254±28, p<0.001) かつリン量, カリウム量に有意差なく, アミノ酸スコアはいずれも100 (perfect) であった. したがって透析患者の食事管理においてMg摂取量を増加させるには, たんぱく質の動物性・植物性比率において植物性たんぱく質を60%にすることが有利であると考えられた.