著者
小泉 昌子 小関 陽子 徳田 愛華 島村 綾 佐藤 吉朗 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.301, 2017 (Released:2017-07-08)

(目的)コーヒーに牛乳を入れる層は増えてきている。本研究では、コーヒーにいれる牛乳の温度がコーヒーのおいしさに関与するかどうかを時系列評価によるTDS法を用い、味の面より検討した。(方法)コーヒーは、インスタントコーヒー(株式会社ネスレ)を用い、表示されている熱湯140mlに対し、コーヒー2gを用いて、試料を調製した。コーヒーの温度が86±2℃あるいは80℃になったのを確認後、コーヒーに普通牛乳(株式会社明治)30mlを入れ、その後55℃~60℃に保ち、試料とした。TDS法は、メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルは女子大学生11名、感覚属性は8属性(苦味、酸味、甘味、渋味、焦げた味、油っぽい、牛乳味、無味)を用いた。(結果)コーヒーでは、初めに苦味を感じ、酸味と苦味が続き、焦げた味、渋味が感じられる。それに対し、コーヒー液80℃に牛乳をいれた試料では、開始直後から苦味が立ち上がり、苦味を感じ、甘味、牛乳味、渋味の順に感じられる。90℃でいれた試料より、複雑な味を感じていた。採点法による官能評価では、90℃で牛乳を加えた試料では、香りの強さ、苦味の強さ、後味の強さが強く、甘みの強さ、なめらかさ、牛乳感が弱いと識別された。嗜好型官能評価では、80℃で加えた試料が有意に好まれた。牛乳はコーヒーがあまり熱いうちに加えない方がよいことがわかった。
著者
城田 直子 島村 綾 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>慢性腎不全患者の食事管理では,低たんぱく米が利用されている.長期に食べるには,飯のにおいや味が重要である.市販の炊飯用低たんぱく米は,加熱方法や保存条件,喫食までの時間などを推奨している.本研究では,この低たんぱく米の保存条件をにおいの面より検討した.<br><b>方法 </b>冷凍保存を推奨している炊飯用低たんぱく米4種を用いた.開封直後または冷凍保存後,推奨されていない冷蔵で2週間保存した米を炊飯した.それを電気炊飯器で炊飯し,炊き上がり直後および室温放置30分した飯のにおいについて,ポータブル型ニオイセンサ(新コスモス電機株式会社)でにおいの強さを,におい識別装置(株式会社島津製作所FF-2A)でにおい成分を測定した.<br><b>結果 </b>一般の炊飯米のにおいでは,炊き上がり後のにおいが弱く,室温放置30分後のにおいが強くなった.これに対し,低たんぱく炊飯米では,室温放置でにおいは弱くなった.それらを冷蔵保存した炊飯米のにおいのピークレベル値は,1試料を除きさらに低い値を示した.保存条件によって,低たんぱく米のにおいは変化した.<br><b>考察 </b>低たんぱく米では,有機酸以外にトリメチルアミンや酢酸ブチルが検出された<sup>1)</sup>.冷蔵保存により,これらが変化した可能性がある.有機酸の臭気寄与が減少したのなら,飯臭が消えたことになり,別なにおいが増加した可能性がある.<br>1)城田ら:日本臨床栄養学会・協会総会第12回連合大会発表,10月(2014年).
著者
設樂 弘之 島村 綾 田中 亮治 有満 和人 峯木 真知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.32, 2016 (Released:2016-08-28)
被引用文献数
1

【目的】食品、特に生鮮食品と呼ばれる領域の食品に関しては、その鮮度と風味には密接に関係がある。野菜や魚など鮮度が良いとおいしいといわれている一方、肉などのようにすこし貯蔵したほうがおいしくなるといわれている。その原因についても多くが研究されている。卵は長期保存がきくことが知られている一方で、生みたてがおいしいといわれているが、その科学的根拠となる研究例は少ない。そこで保存した卵と生みたてのもので風味に違いを明らかにすることを目的とした。 【方法】タカハシ養鶏場 深谷農場6号舎で養育されたハイライン種マリア(日齢292日)が産卵した卵を5℃で16日保存した。同じ鶏舎のもの(日齢305日)で3日保管した卵と比較した。基礎項目として卵重、HU、卵黄の色、卵白のpHおよびタンパク質量、卵黄のpH、水分、脂質量、およびタンパク質量を測定した。風味の違いを知るために、卵かけご飯、茹で卵、だし巻卵、カスタードプリンを作成し、風味試験に供した。パネルは、東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻4年生と大学院生の計25名で行った。 【結果】たまごかけご飯、および、だし巻き卵に関して、新鮮卵のほうが好ましいという傾向にあったが、有意な差はなかった。プリンについては有意に新鮮卵を使ったほうが好ましいという結果になった(p<.05)。2つのプリンには硬さに違いがあり、新鮮卵のプリンのほうが軟らかく口どけが良いことから好まれたと思われる。新鮮卵と保存卵のプリンでは固さに差は、タンパク質量、pHに差があったことが、影響した可能性がある。これらの結果から、野菜や魚と比較すると、卵は保管中の変化が少なく、おいしさにもあまり差はないことがわかった。
著者
岡村 明浩 島村 綾 三河 直美 山田 祥朗 堀江 則行 塚本 勝巳
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.20-00070, (Released:2021-05-13)
参考文献数
24
被引用文献数
1

人工種苗由来の完全養殖ウナギの白焼きについて,官能評価および化学・物性分析を行った。成鰻生産,焼成加工は静岡県内の養魚場,加工場で行った。同所で生産した天然種苗由来の従来型養殖ウナギを比較対照とした。官能評価では,完全養殖の方が脂ののり良く,皮がかたいと評価された。一方,化学分析では,脂質含量に差は無かったものの,粗脂肪中の高度不飽和脂肪酸は完全養殖の方が有意に少なく,官能評価に影響した可能性がある。また,物性分析によれば,身と皮の破断強度は完全養殖の方が有意に高く,官能評価の結果と一致した。
著者
成田 亮子 島村 綾 名倉 秀子 峯木 眞知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.25, 2016 (Released:2016-08-28)

(目的) 琉球王朝菓子ちんすこうは、豚脂(ラード)を使用し、西洋の焼菓子とは異なった食感と風味に特徴があり、保存性にもすぐれている。ラードの代わりに多種の油脂を用いて調製し、テクスチャーに与える影響を調べた。(方法) ちんすこうはラード(油脂)、薄力小麦粉(日清フーズ㈱)、砂糖(三井製糖㈱)で調製する。油脂は8種(ラード、バター、アボガドオイル、オリーブオイル、キャノーラ油、ココナッツオイル、胡麻油、米油)で、基本配合は予備実験より、小麦粉120g、砂糖90g、油脂58gとした。油脂を60℃に温め、砂糖を加え、みぞれ状態になったら、小麦粉を加えた。それを、Ø3.5㎝の大きさ(各15g)に形成後、150℃で28分焼成した。焼成後の試料は、重量、体積、比体積、水分含有率、表面の焼き色、破断特性を測定し、官能評価を行った。焼成後の伸びを示すスプレッド値は、直径(㎜)/厚さ(㎜)で算出した。製品の水分含有率は赤外線水分計(㈱ケット)で110℃、80分の条件下で測定した。破断特性はレオナーRE2-3305 B-1(山電(株))で測定した。(結果) 8種の油脂を用いた試料では、ラードを用いた試料より、破断応力および破断歪が低く、もろい製品であった。アボガドオイル試料、オリーブオイル試料では、もろさおよびもろさ歪がかなり低かった。キャノーラ油試料ではスプレッド値、比体積、水分含有率がラードに近い値を示した。ココナツオイル試料では、スプレッド値が6.0と最も高く、水分含有率は3.6%で最も高い値を示した。胡麻油試料ではもろさおよびもろさ歪が高く、水分含有率が2.6%で最も低かった。油の種類により、食感の異なるちんすこう製品ができた。
著者
成田 亮子 島村 綾 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.68, no.8, pp.413-420, 2017 (Released:2017-09-06)
参考文献数
22

The Ryukyu confection “Chinsuko” is made from lard, sugar, and flour. However, its recipe is not well known. We replaced lard with 7 kinds of fats and oils (butter, canola oil, rice oil, sesame oil, olive oil, avocado oil, coconut oil), and investigated the quality of each sample. The specific volume of the baked sample with butter was the highest among all of the samples, and there was no significant difference among the other samples. The spread value of the lard sample was the lowest, while the sample with coconut oil had the highest value (p<0.05). The moisture content of each sample was between 2.6% and 3.6%. We considered “Chinsuko” to be suitable for long-term preservation. The breaking stress of samples with butter, coconut oil, and avocado oil was higher than the lard sample (p<0.05). The results showed that lard affected the original taste and unique texture of “Chinsuko”. The function of sesame oil and canola oil were similar to lard, and those products were preferred.
著者
成田 亮子 島村 綾 名倉 秀子 峯木 眞知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

(目的)<br> 琉球王朝菓子ちんすこうは、豚脂(ラード)を使用し、西洋の焼菓子とは異なった食感と風味に特徴があり、保存性にもすぐれている。ラードの代わりに多種の油脂を用いて調製し、テクスチャーに与える影響を調べた。<br>(方法)<br> ちんすこうはラード(油脂)、薄力小麦粉(日清フーズ㈱)、砂糖(三井製糖㈱)で調製する。油脂は8種(ラード、バター、アボガドオイル、オリーブオイル、キャノーラ油、ココナッツオイル、胡麻油、米油)で、基本配合は予備実験より、小麦粉120g、砂糖90g、油脂58gとした。油脂を60℃に温め、砂糖を加え、みぞれ状態になったら、小麦粉を加えた。それを、&Oslash;3.5㎝の大きさ(各15g)に形成後、150℃で28分焼成した。焼成後の試料は、重量、体積、比体積、水分含有率、表面の焼き色、破断特性を測定し、官能評価を行った。焼成後の伸びを示すスプレッド値は、直径(㎜)/厚さ(㎜)で算出した。製品の水分含有率は赤外線水分計(㈱ケット)で110℃、80分の条件下で測定した。破断特性はレオナーRE2-3305 B-1(山電(株))で測定した。<br>(結果)<br> 8種の油脂を用いた試料では、ラードを用いた試料より、破断応力および破断歪が低く、もろい製品であった。アボガドオイル試料、オリーブオイル試料では、もろさおよびもろさ歪がかなり低かった。キャノーラ油試料ではスプレッド値、比体積、水分含有率がラードに近い値を示した。ココナツオイル試料では、スプレッド値が6.0と最も高く、水分含有率は3.6%で最も高い値を示した。胡麻油試料ではもろさおよびもろさ歪が高く、水分含有率が2.6%で最も低かった。油の種類により、食感の異なるちんすこう製品ができた。
著者
設樂 弘之 島村 綾 田中 亮治 有満 和人 峯木 真知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】食品、特に生鮮食品と呼ばれる領域の食品に関しては、その鮮度と風味には密接に関係がある。野菜や魚など鮮度が良いとおいしいといわれている一方、肉などのようにすこし貯蔵したほうがおいしくなるといわれている。その原因についても多くが研究されている。卵は長期保存がきくことが知られている一方で、生みたてがおいしいといわれているが、その科学的根拠となる研究例は少ない。そこで保存した卵と生みたてのもので風味に違いを明らかにすることを目的とした。 <br> 【方法】タカハシ養鶏場 深谷農場6号舎で養育されたハイライン種マリア(日齢292日)が産卵した卵を5℃で16日保存した。同じ鶏舎のもの(日齢305日)で3日保管した卵と比較した。基礎項目として卵重、HU、卵黄の色、卵白のpHおよびタンパク質量、卵黄のpH、水分、脂質量、およびタンパク質量を測定した。風味の違いを知るために、卵かけご飯、茹で卵、だし巻卵、カスタードプリンを作成し、風味試験に供した。パネルは、東京家政大学栄養学科管理栄養士専攻4年生と大学院生の計25名で行った。<br> 【結果】たまごかけご飯、および、だし巻き卵に関して、新鮮卵のほうが好ましいという傾向にあったが、有意な差はなかった。プリンについては有意に新鮮卵を使ったほうが好ましいという結果になった(p<.05)。2つのプリンには硬さに違いがあり、新鮮卵のプリンのほうが軟らかく口どけが良いことから好まれたと思われる。新鮮卵と保存卵のプリンでは固さに差は、タンパク質量、pHに差があったことが、影響した可能性がある。これらの結果から、野菜や魚と比較すると、卵は保管中の変化が少なく、おいしさにもあまり差はないことがわかった。
著者
島村 綾 小関 陽子 小泉 昌子 原 未来 折戸 美月 重村 泰毅 峯木 眞知子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.302, 2017 (Released:2017-07-08)

(目的)コーヒーの焙煎法の違いには、直火型、半熱風型、熱風型の焙煎機があり、この風味の違いは明らかではない。そこで、直火焙煎、熱風焙煎による短時間加熱、長時間加熱で調製したコーヒー液を用い、その風味を時系列評価によるTDS法を用い、味の面より検討した。(方法)同じコーヒー豆による焙煎方法の異なるコーヒー液を株式会社ドトールに依頼した。試料の濃度はbrix×1.5を用い、温度による違いを避けるために室温で用いた。メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルはコーヒーを好む本学女子学生10名で、測定時間は60秒とした。味の感覚属性は6属性(甘味、酸味、苦味、うま味、ナッツの味、渋味)を用いた。採点法による嗜好型官能評価も行った。コーヒー試料のアミノ酸分析も行った。(結果) 直火焙煎短時間加熱試料の味の評価は、初めに苦味、その後酸味を感じる。長時間加熱試料では先に苦味を感じ、その後に酸味、苦味、うま味、そして後味にうま味を有意に感じている。熱風焙煎の短時間と長時間を比べると、短時間では、苦味を先に感じ、ナッツの味もわずかに感じ、渋み、甘味、うま味、苦味を感じ、後味にはナッツの味、酸味を有意に感じている。直火焙煎と熱風焙煎を比べると、直火焙煎のほうが好まれることがわかる。採点法による総合評価において、焙煎方法に関係なく、短時間加熱試料が長時間加熱試料よりも有意に好まれた。
著者
島村 綾 徳田 愛華 小関 陽子 小泉 昌子 峯木 眞知子 佐藤 吉朗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, 2017

(目的)コーヒーの焙煎法の違いには、直火型、半熱風型、熱風型の焙煎機があり、この風味の違いは明らかではない。そこで、直火焙煎、熱風焙煎による短時間加熱、長時間加熱で調製したコーヒー液を用い、そのにおいを時系列評価によるTDS法を用いて検討した。<br>(方法)同じコーヒー豆による焙煎方法の異なるコーヒー液を株式会社ドトールに依頼した。試料の濃度はbrix&times;1.5を用い、温度による違いを避けるために室温で用いた。メディア・アイ製J-SEMS TI・TDSシステムを用い、パネルは本学女子学生10-11名で、試料15mLを用い、60秒間測定した。においの感覚属性は5属性を用いた。採点法による嗜好型官能評価も行った。コーヒーのにおいは、GC-MSを用いて計測した。<br>(結果) 直火焙煎試料のにおいでは、短時間加熱試料は飲む前よりアーモンド・ナッツの香りを有意に感じ、その後酸っぱい香り、焦げた匂い、カラメル、甘い香りの順に感じた。長時間試料では、始めに甘い香りを有意に感じ、その後にアーモンド・ナッツの香り、焦げた匂いを感じている。熱風長時間加熱試料では、始めに酸っぱい香りが有意に感じられ、後味に焦げたにおいを感じている。どの焙煎においても、酸っぱいにおいは有意に感じられていた。GC-MS分析の結果、熱風焙煎・短時間加熱試料は熱風焙煎・長時間加熱試料に比べチョコレート様の香りである2-メチルフランが多く検出された。<br>