著者
堀 大輔 染川 晋作 前田 朗(MD)
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.21, 2010

【はじめに】<BR>アメリカンフットボールは傷害発生率の高いスポーツであり、これまで多くの傷害報告がある。<BR>我々はメディカルサポートをしている大学アメリカンフットボール部に対して2007年から傷害調査を行い、過去の報告と比較するとハムストリングス肉離れの発生率が高いという特徴的な傾向があることを第31回本学会で報告した。<BR>肉離れのリスクファクタ―として筋力不足や不均衡、筋柔軟性の低下、不適切なウォーミングアップ、ランニングフォーム、神経・筋協調性の欠如、環境条件の不良など多数あげられ、発生原因を断定するのは難しくあらゆる方向から予防することが必要とされている。しかし医療機関に勤務しながら限られた時間の中でチームサポートしている我々にとっては、それを実行することは困難である。<BR>そこで今回、比較的簡便に測定可能かつ客観的に数値化できる筋力測定を行い、測定結果を選手にフィードバックすることで発生予防のための一手段となり得るか検討したので、ここに報告する。<BR>【対象】<BR>2009年、某大学アメリカンフットボール部に所属する2,3,4年生の選手33名、平均身長173.5±5.9cm、平均体重83.2±12.2kg。<BR>【方法】<BR>・2009年2月(シーズン前)、CYBEXを用い60deg/sec・180deg/secにおける膝の伸展・屈曲トルク値を測定しQH比を算出した。<BR>・理想のQH比を60deg/secでは0.58以上、180deg/secでは0.66以上とし、測定結果を選手個々にフィードバックした。<BR>・2009年も継続して傷害調査を行い、2008年におけるハムストリングス肉離れの発生率との比較を行った。<BR>なお、これらはヘルシンキ宣言に則り、チームにおける選手・スタッフに十分に説明し同意を得て行った。<BR>【結果】<BR>・指標とするQH比より低い傾向にあった選手は26人/33人(78.78%)であった。<BR>・ハムストリングス肉離れの発生は 2008年:13件/37人(0.35件/人)→2009年:8件/33人(0.24件/人)、と減少した。<BR>・特に春シーズン(3月、4月、5月、6月)の発生は2008年:8件/37人(0.22件/人)→2009年:2件/33人(0.06件/人)、と減少した。<BR>【考察】<BR>肉離れの発生状況とQH比の関係や、QH比を用いた肉離れの予防の効果についての報告は多く、QH比が低いとハムストリングス肉離れの発生率が高値を示すことがこれまでの統一した見解である。<BR>今回の測定にて、当部においては指標とするQH比より低い傾向にあった選手が多く、測定結果を選手にフィードバックするとともにハムストリングスの選択的強化の必要性を同時にアドバイスできたこと、またそれらを発生率の高い春シーズン前に行うことができたことが、ハムストリングス肉離れの発生率を低下させた要因となったのではないかと示唆される。<BR>今回は、チーム事情で1回のみの測定に終わり、実際にその後QH比に変動があったかは定かではない。また2月に測定したQH比が数ヶ月以降の秋シーズンの肉離れの発症にどれほど関係しているかは不明瞭であるため、今後は測定回数を増やしQH比の推移と発生状況を更に分析する必要性がある。
著者
内堀 大輔 渡邊 一旭 櫻田 洋介 荒武 淳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.23-00129, 2023 (Released:2023-12-20)
参考文献数
22

地下構造物の長期的な保全のために,通信用マンホールの点検作業を効率的かつ安全に行うことができる自律飛行 UAV(Unmanned Aerial Vehicle)を開発した.地下空間でUAVを自律飛行させるために,レーザと超音波による距離計測センサおよびカメラを用いたUAVの自己位置の推定方法と,推定した自己位置情報を用いた飛行方法を構築した.また,マンホールのような狭小空間の飛行に適したUAVのガード構造を検討した.実寸大マンホールにおけるUAVの飛行検証の結果,地上からマンホールの内部への入孔,マンホール躯体部での移動と画像撮影,マンホールからの出孔,着陸までの一連の飛行動作を完全自動で実現し,点検用の画像が撮影できることを確認した.これにより,点検員はマンホールに入ることなくUAVの撮影画像を用いて点検を行うことができる.
著者
染川 晋作 堀 大輔 前田 朗
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.128, 2009

【はじめに】<br> 近年、スポーツ現場における理学療法士(以下PT)の活動報告が多く紹介されている。我々も某大学アメリカンフットボール部に対し、2004年からトレーナー活動を中心としたメディカルサポートを行ってきた。2007年から当院の医師及び看護師にも協力を依頼し、当院での活動内容も徐々に増加している。現在では、怪我をしたほとんどの選手が当院を受診するまでに至った。そこで今回、我々の行っているメディカルサポートの報告と、当院のサポートシステムについて検討した。<br>【PTの活動内容】<br> 活動内容は、大学トレーニングルームにて行う練習後のメディカルケア(週1回)、春シーズン4試合・秋シーズン5~7試合の帯同、夏合宿(1週間)の帯同、当院でのリハビリテーション(チームに所属する当院PT2名が主となる)、監督・コーチとのミーティング(受診した選手の現状報告など)、サポートスタッフとのミーティング及び勉強会、選手・コーチへの傷害予防に対する教育などである。<br>【当院のサポートシステム】<br> 2007年から当院の医師及び看護師の協力のもと、受診する選手に対して、リハビリ処方箋の他にチーム専用のシート(以下連絡表)を使用している。連絡表では、受診した選手の診断名及び目安となる固定期間、ジョグ復帰可能、コンタクト以外復帰可能、コンタクト復帰可能時期など、選手のニーズに合わせた情報を医師に記載してもらう。連絡表は、運動療法適応外の場合でも医師に記載してもらう。診察後は記載された連絡表をもとに、チームに所属する当院PT2名が選手の状態を個別にチェックをして、受診した全選手の状態を把握するシステムを確立している。<br>【当院の受診数】<br> 2年間に当院を受診した選手数は、2007年が全選手数56名中41名(73.2%)、2008年が全選手数50名中42名(84.0%)であった。選手の当院受診(のべ新患)数は2007年が101件、2008年130件の総計231件であった。また、当院で手術を施行したものは10件であった。<br>【考察】<br> チームに対する院外でのメディカルサポートを行い、2007年より当院のサポートシステムを確立できたことで、2008年には当院を受診する選手の割合が増加した。診察時に連絡表を使用することで、選手のニーズに合わせた情報提供及び監督・コーチとの情報の共有が迅速となり、理学療法適応外の場合でも、PTが全選手の状態を把握することができた。しかし、PTによる選手の怪我に対する分析はさらに必要であり、今後の課題として、1)連絡表を見直し、怪我の状況(受傷機転やコンディション、グランド状態など)を詳細に評価すること、2)評価をもとに分析を行うこと、3)競技特性に沿ったより良いサポートシステムを確立することを検討中である。