著者
内藤 政人 茅野 真男 堀川 宗之 名越 秀樹 中村 芳郎 小野 泰志 宇田川 宏之
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.1159-1164, 1975

狭心症や発作性不整脈の診断には,発作中およびその前後の心電図記録が必要である.<br>Holterらの装置は長時間連続記録であり,しかも高価である.また発作と同時に患者にスイッチを押させて心電図を記録する装置もあるが,発作前からの連続記録がぜひ必要と思われる.<br>われわれはエンドレスカセットテープを用いて,発作と同時に患老に押させたスイッチによるトリッガー信号で発作前後の制御を行ない,発作中およびその前後の心電図記録が連続して得られる装置を開発した.<br>電源は乾電池を使用し,約12時間の連続使用が可能で発作前後3分間ずつ計6分間,2回の発作まで記録ができる.<br>この装置により,狭心症のある例では自覚症状発現前よりST-T部分の変化が始まっていることがわかり,また狭心症と思われた例が,単なる頻脈発作であることがわかるなど,非常に有用と思われたので,装置の概略と使用成績を報告する.
著者
横山 和 堀川 宗之
出版者
東海大学
雑誌
東海大学紀要. 開発工学部 (ISSN:09177612)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.71-77, 2006-03-31

最近,VDT(visual display terminal)作業や長時間の単一作業が原因で,肩凝りや肩腕痛を訴える人が増加している.これらの頸部や肩腕部の頸肩腕障害に対する治療方法の一つとして,入浴や入湯によって患部を温める温浴療法がある.温浴の心・血管系に及ぼす影響についての研究はこれまでにも行われているが,温浴が筋硬度や筋疲労度に与える効果についての研究は見当たらない.そこで,僧帽筋に対する温浴の効果を,筋硬度計で測定した筋硬度と,表面筋電図から得られるmean power frequency (Fm) を指標に用い,13 人の大学生を対象に検討した.湯温を40℃に設定した浴槽に,肩部が全て浸かるように10 分間入浴し,入浴前を対照に,出浴後60 分間にわたって15 分毎に筋硬度と表面筋電図を測定し解析した.全被験者を対象にすると,入浴前の筋硬度とFm の間に相関は認められなかったが,被験者のうちで筋硬度が平均値より高い群では負の相関が認められ,筋の硬さが増すほどFm は低周波化した.Fm は筋疲労に伴って低周波領域にshift(slowing)するので,筋硬度の高い群では筋疲労が相対的に強く起こっていると考えられる.温浴は筋硬度を入浴前に比べて25%も減少させて筋を軟らかくし,出浴後60 分においてもなお6%低値を示した.入浴前後でFm の有意な変化は全被験者対象では認められなかったが,入浴前のFm が平均値より低い群では出浴直後にFm が3%上昇し,出浴後60 分まで高値を維持した. Fm が低い群では温浴により血液循環が促進され蓄積された代謝産物が除去されたことによって筋疲労が改善されたものと推測された.