著者
内藤 政人 茅野 真男 堀川 宗之 名越 秀樹 中村 芳郎 小野 泰志 宇田川 宏之
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.1159-1164, 1975

狭心症や発作性不整脈の診断には,発作中およびその前後の心電図記録が必要である.<br>Holterらの装置は長時間連続記録であり,しかも高価である.また発作と同時に患者にスイッチを押させて心電図を記録する装置もあるが,発作前からの連続記録がぜひ必要と思われる.<br>われわれはエンドレスカセットテープを用いて,発作と同時に患老に押させたスイッチによるトリッガー信号で発作前後の制御を行ない,発作中およびその前後の心電図記録が連続して得られる装置を開発した.<br>電源は乾電池を使用し,約12時間の連続使用が可能で発作前後3分間ずつ計6分間,2回の発作まで記録ができる.<br>この装置により,狭心症のある例では自覚症状発現前よりST-T部分の変化が始まっていることがわかり,また狭心症と思われた例が,単なる頻脈発作であることがわかるなど,非常に有用と思われたので,装置の概略と使用成績を報告する.
著者
茅野 真男 薄葉 文彦 池川 徹 戸山 雅子 小川 聡 半田 俊之介 中村 芳郎
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.183-190, 1986

失神26例を, 失神時心電図所見により, 持続性心室頻拍 (SVT) 8例, 非持続性心室頻拍 (NSVT) 5例, 心室細動 (VF) 5例, 心電図記録なし (syncope) 8例の4群に分け, programmed ventricular stimulation (PVS) を施行した.対象例の基礎心疾患は, 虚血性心疾患10例, 心筋症7例, 基礎心疾患なし5例, その他4例である.VT誘発は, 右室の2カ所で, 2連発早期刺激法を用いた.その結果, 9例でinduced SVT, 8例でinduced NSVTが誘発された.各群でのinduced VT (SVT+NSVT) の誘発率はSVT100%, NSVT60%, VF60%, syncope38%, induced SVTのみの誘発率はSVT75%, NSVT20%, VF40%, syncope 0%であった.失神時と誘発時で12誘導心電図上VT波形を比較しえたSVTの4例全例とも, QRS波形は一致した.induced SVTの停止に, 4例でDC shockを要したが死亡はなかった.PVS法は, VT, VF, 失神時心電図のない例において, 発作の原因推定に有用な方法と思われる.