著者
堀松 哲夫 佐々木 邦彦 浜口 雅春
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.220-227, 2011-12-01 (Released:2012-03-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1

ITS情報通信システム推進会議の運転支援通信システム専門委員会において筆者らが長年にわたって検討してきた三つの周波数帯の電波を用いたシステムについて,その現状と将来展望を述べる.運転支援に有効な見通し外通信を実現するため,地上波テレビジョン放送のディジタル化の後に利用可能になる700MHz帯の電波を用いた通信システム実現に向けた技術検討や実験解析を通して実験用ガイドラインを作成し,これを様々な実証実験に供した.これらの実験により本ガイドラインの妥当性を検証したが,引き続きこれを国の標準規格にすべく技術を精査している.一方,5.8GHz帯の車々間通信については,国内のETC/DSRC (Electronic Toll Collection/Dedicated Short Range Communications) で用いられている周波数帯をなお一層活用することを目的に技術検討や実験解析を実施してきた.ここでも実験用ガイドラインを基に様々な実証を行い,実現可能性を示した.更に,未利用周波数資源開発が世界的に活発となっている中,日本でも79GHz帯のミリ波の電波を用いたレーダの開発と標準化検討を進めた.これらいずれの電波メディアも,これからの社会において道路交通の安全を第一に,利便・安心を含めた社会基盤を構築するものと期待される.
著者
野原 光夫 遠藤洋介 堀松 哲夫 難波 秀彰 間瀬 公太 小花 貞夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.64-69, 2009-01-15
被引用文献数
1

近年発展が著しいユビキタス・ネットワーク社会において,自動車がネットワークにつながることによって,人と自動車と道路に関連する情報が融合する新たな潮流が生じている.このような流れの技術は,ユビキタスITS(Intelligent Transport Systems)と呼ばれている.ユビキタスITSでは,交差点での出会い頭の衝突回避から交通情報の配信まで多様なニーズがあり,それぞれに異なった運用要求を持っている.これらの要求に対して,同様に多様化が進んでいる無線メディアを効果的に選択,あるいは,組み合わせて利用することにより,それぞれの要求に応えていくことが期待されている.本稿では,具体的な研究開発事例を通じて,ユビキタスITSについての現在の状況,および,今後の展望について紹介する.