著者
堀江 祐爾
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.23-31, 2023-03-30 (Released:2023-04-21)
参考文献数
4

本資料の目的は、アメリカ合衆国における入門期(Beginning Reading)の読むことの学習指導、とりわけ「guided reading(教師が導く読みの指導)」について、記録と考察をおこなうことである。Albert J. Harrisの著書How to Increase Reading Ability: A Guide to Developmental and Remedial Methods(1975年発刊の第6版からはEdward R. Sipayとの共著)に記述された入門期の学習指導について取り上げる。本書によると、1950年代から1990年代にかけてguided readingは次第により多様な学習活動によって構成されるようになった。1996年には、「質問を定式化する」ことを実現した次の研究書が出版された。Fountas, I. C., & Pinnell, G. S., (1996) Guided Reading: Good First Teaching for All Children. NH: Heinemann.である。その「定式化された質問」についての考察を通して、guided readingの目標はあくまで「自己修正」しながら読み進める力を身につけさせることであることを明らかにした。さらに、論者自身が参観した2001年にウィスコンシン州において実践されたguided readingの授業を具体的に示し、考察をおこなった。