著者
堂坂 善弘 間口 四郎 高木 摂夫 永橋 立望 福田 論 犬山 征夫
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.98, no.3, pp.357-361,517, 1995-03-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

シラカンパ花粉飛散がない6月にも症状を発現しているシラカンパ花粉症症例をしばしば経験し, 他の花粉の重複感作またはブナ目花粉の共通抗原性を疑い調査研究を行った. 患者のシラカンパ, コナラ, ブナ各RAST値間に高い相関を認め, シラカンパ花粉抽出液によりコナラ, ブナ各RAST値が有意に抑制されたことより, シラカンパ花粉とコナラ花粉およびブナ花粉間には共通抗原性が認められ, シラカンパ花粉症患者が6月に症状を発現する原因はその植生からコナラ属花粉と考えた. 高山以外にシラカンバの植生のない本州地方でのシラカンバRAST陽性者は他のブナ目樹木花粉によって感作されていると推察した.
著者
目須田 康 本間 明宏 西澤 典子 折舘 伸彦 堂坂 善弘 古田 康 福田 諭
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6Supplement4, pp.S286-S290, 2006-11-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
17

近年上咽頭癌放射線治療後晩期に嚥下障害を来した例を3例経験した。症例は男性2例女性1例で、治療時年齢は20-41歳。2例は上咽頭癌に対する標準的な放射線治療を、1例は放射線化学併用療法を受けており、治療後8-15年で嚥下障害を発症した。全例両側舌下神経麻痺を中心として咽喉頭の感覚運動障害を有し、1例では補助栄養として間欠的口腔食道栄養法 (OE法) を指導し、1例では誤嚥性肺炎をコントロールするため誤嚥防止手術 (喉摘) を必要とした。末梢神経線維は一般に放射線抵抗性とされるが、過去の報告では放射線障害による脳神経障害に起因した誤嚥性肺炎で死亡する例も存在する。近年上咽頭癌に対し放射線化学併用療法が積極的に行われており、予後の改善と引き換えに晩期脳神経障害を背景にした嚥下障害が増加する可能性があることを、嚥下障害を担当する医療者や頭頸部腫瘍治療担当者は銘記する必要があろう。