- 著者
-
折舘 伸彦
- 出版者
- 日本口腔・咽頭科学会
- 雑誌
- 口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.1, pp.45-52, 2011 (Released:2011-04-16)
- 参考文献数
- 22
日本消化器病学会の統一ガイドラインとして「消化性潰瘍」, 「炎症性腸疾患」, 「慢性膵炎」, 「胆石症」, 「肝硬変」のガイドラインとともに「胃食道逆流症 (GERD) 診療ガイドライン」が2009年11月発刊された. 日常診療において, 耳鼻咽喉科医は好むと好まざるとに関わらず, 咽喉頭症状を伴う胃食道逆流症患者の診療の一部を受け持たなければならないので, 本ガイドラインの概略を理解しておくことは有用であると考え, 胃食道逆流症の疫学, 病態, 診断, 内科的治療を紹介した. 食道外症状の一つである咽喉頭症状に関するCQ「GERDにより慢性咽喉頭炎 (自覚症状のみも含む) が生じることがあるか? 」へのステートメントは「GERDは咽喉頭炎, 咽喉頭症状の原因となることがあるが, 咽喉頭炎や自覚症状に対するプロトンポンプ阻害剤の効果は確定していない」である. さらに, 今回のガイドライン作成の文献検索期間後に論文発表された胃食道逆流による咽喉頭症状に対するプロトンポンプ阻害剤の効果を検討した無作為化臨床試験の成績を併せて紹介した.