- 著者
-
中村 明澄
堤 円香
安藤 仁子
高柳 論也
地曵 典恵
- 出版者
- 日本緩和医療学会
- 雑誌
- Palliative Care Research (ISSN:18805302)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.4, pp.339-343, 2020 (Released:2020-12-21)
- 参考文献数
- 11
ヒドロモルフォン塩酸塩1%注射液(高濃度ヒドロモルフォン注)の持続皮下注により皮下硬結を生じたが,希釈濃度を下げることで改善した1例を報告する.患者は60歳女性,膵がんによる背部痛に対して高濃度ヒドロモルフォン注の持続皮下注を行い,ヒドロモルフォン濃度を0.17%から0.83%に上げた際に発赤・皮下硬結が出現した.留置針の刺し替えを行うも改善せず,ヒドロモルフォン濃度を0.28%まで下げたところで皮下硬結が消失した.第61病日より嘔気に対してハロペリドールを混注し,第70病日より身の置きどころのなさの出現により,ミダゾラムをさらに混注で追加したが,ヒドロモルフォン濃度を0.28%以下に保つことで,第79病日に亡くなるまで皮下硬結を認めず,症状緩和も可能であった.高濃度ヒドロモルフォン注の持続皮下注の皮膚局所反応に,ヒドロモルフォンの濃度が関係している可能性が推測された.