著者
堤 円香 中村 明澄 前野 貴美 高屋敷 明由美 阪本 直人 横谷 省治 前野 哲博
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.291-296, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

目的 : 小中学生への喫煙予防教育と父母の行動変容との関連を調査した.方法 : 茨城県神栖市の小中学校7校で喫煙予防教育を実施し, 受講した生徒に学んだことを家で話すよう促した. 1か月後に生徒の親を対象に自記式アンケート調査を行い, 子供からタバコの話を聞いたか, この1か月のタバコに対する新たな行動変容の有無とその内容などを調査した.結果 : 1109家庭に2枚ずつ調査票を配付し1427名の有効回答を得た. 子供から話を聞いたのは794名 (55.6%) , 行動変容があったのは271名 (19.0%) であった. 具体的な内容は, 禁煙した, 本数を減らす, 子供の前で吸わないなどが挙がった. 行動変容の有無は, 子供から話を聞いたことに有意に関連していた (オッズ比3.3 (95%Cl 2.4-4.6)).結論 : 小中学生に対する喫煙予防教育の実施は, 本人のみならず父母のタバコに対する行動変容につながる可能性が示唆された.
著者
瀬尾 恵美子 小川 良子 伊藤 慎 讃岐 勝 前野 貴美 前野 哲博
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.71-77, 2017-04-25 (Released:2018-07-05)
参考文献数
14

目的 : 研修医の抑うつに関して, 臨床研修制度導入時と, 制度が広く周知された段階とで比較検討を行う.方法 : 全国の臨床研修病院250施設で, 2011年採用の研修医1,753名に対し, 研修開始時と開始3カ月後に, 抑うつ反応, 勤務時間, ストレス要因, ストレス緩和要因などに関するアンケート調査を行い, 2004年の同様の調査と比較した.結果 : 研修開始3カ月後, 抑うつ状態の研修医は30.5% (新規うつ状態率19.6%) で, 2004年より有意に減少していた. 一因として勤務時間の減少, ストレス要因, 緩和要因の改善が考えられた.考察 : 依然多くの研修医が抑うつ状態となっており, 研修環境の更なる改善が望まれる.
著者
阪本 直人 釋 文雄 堤 円香 春田 淳志 後藤 亮平 前野 哲博
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.2-8, 2019-03-20 (Released:2019-03-28)
参考文献数
19

目的:健診受診者を対象に,かぜに対する認識の現状と受診信念との関連を明らかにすべく調査した.方法:2012年8月~9月,茨城県X市健診受診者に対し,かぜに対する認識や対処行動について無記名自記式質問紙で調査した.結果:1079名(有効回答率74.5%)が調査対象となり,かぜをひいたら「点滴や注射を受けると早く治る」に75.9%が賛成し,42.0%が「ウイルスが原因のかぜは抗生物質が効かない」に反対した.また,同項目で28.6%が「分からない」と回答.また「かぜ薬を早めに飲むと早く治る(OR:1.61)と「点滴や注射を受けると早く治る(OR:1.86)」が受診信念に関連する要因であった.結論:かぜに対する認識,そして,抗生物質の効果や医療機関で行われる治療に対する理解が不十分なことが分かった.また,かぜ薬や点滴・注射が治癒期間を短縮するという認識が,受診信念と関連することが示された.
著者
前野 哲博 中村 明澄 前野 貴美 小崎 真規子 木村 琢磨 富田 絵梨子 笹原 信一朗 松崎 一葉
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.175-182, 2008-06-25 (Released:2010-10-22)
参考文献数
18
被引用文献数
3

研修医はきわめて高いストレスにさらされており, うつ病などのストレス反応を起こして研修を中断せざるを得ない研修医が後を絶たない.研修医が安心して研修に専念できるために必要な方策を検討するために, 研修医のストレスについての実態及び要因について包括的に評価することを目的とする研究を行った.1) 2004年度の1年目研修医41施設568名を対象に, 研修開始時と2か月後に, 自記式質問紙票を用いて研修状況, ストレス要因・緩和要因, ストレス反応等について調査を行った.2) 有効回答者318名のうち, 研修開始2か月後に新たに抑うつ反応を呈した研修医は80名 (25.2%) であった.3) 研修医のストレス特性としては, 高い質的・量的負荷と著しく低い裁量度・達成感が特徴であった.4) 多くの研修医が研修開始後に抑うつ状態に陥っていることが明らかになった.研修環境の改善には, 研修医特有のストレス特性に配慮し, 特にストレス緩和要因を高めることが重要と考えられた.
著者
木村 琢磨 前野 哲博 小崎 真規子 大滝 純司 松村 真司 尾藤 誠司 青木 誠
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.383-389, 2007-12-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
15

欧米では, 研修医のストレスは燃え尽き症候群や抑うつの原因となり, 研修プログラムからの脱落や非倫理的な診療などにつながると報告され, ストレス要因への対策がなされている.最近わが国でも, 研修医の過酷な労働条件や過労死などが問題となっているが, わが国における研修医のストレス要因を検討した報告は少ない.1) 10施設の研修医25人を対象に, フォーカス・グループ・インタビューを実施し, わが国における研修医のストレス要因を探索した.2) 研修医のストレス要因として, 一人の人間としてのストレス要因, 新米社会人としてのストレス要因, 未熟な研修中の医師としてのストレス要因の3つを抽出した.3) 3つのストレス要因をそれぞれ生活ギャップ, 社会人ギャップ, プロフェッション・ギャップと名づけ, 研修医のストレス要因を, 医学生時代と医療現場とのギャップがもたらす産物として描出した.4) わが国の研修医の様々なストレス要因が明らかになったが, 研修中の未熟な医師としてのストレス要因は, わが国特有であった.5) 安全で効果的な研修を行うために, これらのストレス要因を考慮した研修医のストレスへの対策が望まれる.
著者
前野 哲博
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.7, pp.859-867, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
7

Due to the rapid aging of the population, it has become important to ensure the provision of primary health care services. To respond to this challenge, it will be insufficient to offer services only at medical institutions; indeed, there are extremely high expectations for pharmacists because they work in close contact with the population at drugstores and pharmacies. Moreover, the Japanese government intends to promote family pharmacies (pharmacists) that not only prepare drugs but also give advice on health issues. In this context, pharmacists are expected to play new roles that surpass those in the existing framework, and this will require a new program to facilitate the acquisition of new abilities (skill mix). As an example, we would like to introduce an education program for pharmacists designed to develop clinical reasoning skills for patients' symptoms. To care properly for patients with symptoms and to decide whether to encourage self-medication or to recommend consultation with a doctor, pharmacists need to develop the ability to take a medical history in a systematic and reasonable way, and then to make an adequate assessment. Therefore on the basis of cooperation between doctors and pharmacists, we have developed an education program, as well as a medical interview support tool to assist pharmacists in obtaining necessary and comprehensive medical histories.
著者
前野 哲博
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.7-9, 2002-03

雑木林や小川に囲まれたのどかな農村地帯にある集落には、白塗りの壁、立派な門構えを備えた瓦葺きの大きな家が並んでいる。まるで時代劇に出てきそうな古いたたずまいをみせる街並みである。ところがふと眼を転ずると、通りを挟んだ反対側には、 ...