著者
堤 恵志郎 大重 匡 瀬戸口 佳史 大勝 祥祐
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P1096, 2009

【目的】慢性呼吸不全患者は呼吸困難・息切れ時に呼吸の回復を目的として、上半身を前傾させ、上肢を肩から垂らすことなく、ものの上に置く肢位をとる.しかし、運動によって呼吸循環反応が亢進した後の回復過程を、座位姿勢で比較している報告は見当たらない.そこで今回、前傾座位姿勢によって生じる影響を明らかにすることを目的とし、健常者を対象に呼吸循環反応亢進後の回復過程を、自然座位と前傾座位とで比較し検討した.<BR><BR>【対象】対象者は健常若年男性12名(22.2±0.9歳、174.7±6cm、66.2±9.2kg)とした.各対象者には本研究の目的、方法を説明し同意を得た.なお、本研究は鹿児島大学研究倫理委員会にて承認を得ている.<BR><BR>【方法】まず対象者には、椅子座位にて5分間の安静座位を取らせる.この安静座位には、背もたれにもたれずに上肢を体側に垂らした座位(自然座位)、体幹を前傾させ両肘を各膝につけた座位(前傾座位)の2条件とした.その後、5分間のトレッドミル歩行を行わせ、それぞれ5分間の安静座位と同じ姿勢で回復過程を測定した.測定パラメータは、安静座位時、回復過程の0、3、6、9分時における心拍数、血圧、SPO<SUB>2</SUB>、RPEとした.統計学的処理は、安静時・回復過程0分値において、対応のあるt検定を用いて比較した.そして、2条件間における回復過程を比較するために2元配置分散分析を行い、交互作用の有無を検定した.その後の検定としてTukey法による多重比較を行った.<BR><BR>【結果】両条件間の安静時・回復過程0分では、いずれの値においても有意差は示されなかった.回復過程では、心拍数において両条件間に交互作用が認められ、回復過程3、6、9分時時点の値は、それぞれ自然座位と比較して前傾座位で有意に低値であった.しかし、SPO<SUB>2</SUB>、血圧、RPEでは、いずれも両条件間で有意差は示されなかった.<BR><BR>【考察】前傾座位で心拍数の回復が早かったのは、呼吸パターンが深くなり、酸素の取り込み量を高く維持し得る状況下にあったためと考える.これは、体幹を前傾させ上肢を支持することで、肩甲骨の固定がなされ、呼吸補助筋である肩甲帯挙上筋群の緊張が解かれたためと考える.また体幹を前傾することにより、腹壁の緊張を解き、横隔膜の降下を容易にすることで呼吸を整えることができたためとも考える.そして、静脈還流量は筋ポンプ作用に加えて胸腔内圧の陰圧による呼吸ポンプ作用によって維持されており、この深い呼吸パターンがこの呼吸ポンプ作用を増し、Frank-Starling機序によって1回心拍出量が増加したと推察される.つまり、前傾座位をとることで、深い呼吸パターンとなり1回心拍出量が増加し、心拍数の回復を早めるにもかかわらず、血管にかかる負担やRPEが自然座位と差がないということが示唆された.
著者
堤 恵 佐藤 久美子 牧野 めぐみ
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.187-193, 2011-05-01

レファレンス協同データベース事業(以下,レファ協)は,国立国会図書館が,全国の公共図書館・大学図書館・専門図書館等と協同でレファレンスに関する大規模なデータベースを構築し,それをインターネットを通じて提供することにより,図書館でのレファレンスサービスや一般の人々の調べ物に役立てることを目的とする事業である。本稿では,まずレファ協の概要と現況を紹介する。そして2010年3月に行ったシステム改修等最近の取り組みや,レファ協によってどのような変化が生まれたのかについて述べ,最後に今後の展望と課題について述べる。