著者
中村 吉貴 大西 律人 脇田 和幸 崔 修逸 塚本 忠司 石田 武
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.652-656, 2003-03-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

消化管出血の原因として小腸動静脈奇形は比較的稀な疾患であり,また微小病変の場合術中の局在診断が困難なことがある.今回われわれは術中の局在診断を適切に行うため,術直前にマイクロカテーテルを血管内留置し,切除しえた2症例を経験したので文献的考察を加え報告する.(症例1) 62歳,女性.大量下血にて当院を受診した.入院後腹部血管造影検査で微小回腸動静脈奇形と診断した.術直前にマイクロカテーテル,マイクロコイルを留置した.術中,色素の注入および単純X線撮影にて病変部位を同定し,回腸部分切除術を施行した.(症例2) 34歳,男性.下血,めまいを主訴に当院を受診した. Hb 4.8g/dlと高度の貧血を認めた. Dynamic CT,腹部血管造影検査で空腸動脈の一本に著明な拡張を認め小腸動静脈奇形と診断した.術直前にマイクロカテーテルを留置し,色素の注入で切除範囲を確認し,空腸部分切除術を施行した.
著者
中村 弘樹 木下 博明 広橋 一裕 久保 正二 田中 宏 塚本 忠司 藤尾 長久
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.22-28, 1994-02-25 (Released:2012-11-13)
参考文献数
17

最近3年間の肝胆道手術症例213例の肝門部胆管合流形式を検討したところ, 総肝管より肝内に向かって第1次および第2次分枝の合流形式は, 2枝合流型149例(70%), 3枝合流型30例(14%), 後枝独立合流型11例(5%) および左肝管に後枝が合流する型23例(11%)であった. 2枝合流型のうち, 右肝管に第3 次分枝の右前枝と右後枝が別個に合流する破格が2例(1%), 第4次分枝以降の肝管枝が肝門部に合流する破格が2例(1%) みられた. これらの肝管枝は, 後枝独立合流型の右後枝や左肝管に後枝が合流する型の右前枝とともに, 副肝管とされることがある. しかし, 帰納的に類推すると, 諸家が従来副肝管と呼称した胆管枝が実は, 肝管の第 2, 3, ……n次分枝 (ある肝領域の唯一の胆汁排出枝) の破格と考えられた. 「副」は付随的な意味ゆえ, 機能的に同等な肝管枝が形態上「副肝管」とされるのは不適当で, この場合「異所性肝管」と呼称すべきである.