- 著者
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糸川 英樹
塚越 茂
- 出版者
- 日本保険医学会
- 雑誌
- 日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
- 巻号頁・発行日
- vol.90, pp.320-329, 1992-12-15
喫煙状態を示す検査として呼気中一酸化炭素(以下呼気中COと略)濃度,体液中(血液,尿,唾液)におけるチオシアニンとニコチン及びその代謝産物であるコテニン濃度測定が挙げられる。これら検査の感度,特異性及び禁煙後検出可能期間について保険医学的見地から文献的考察をした。コチニン検査が感度・特異性共95%以上と最も高く次にニコチン,COとなりチオシアニンが最も低く感度が80%台であるが特異性が70%とかなり低い値が示された。一方禁煙後検出可能期間については,COやニコチンに比べて比較的半減期の長いコチニンについて幾つかの研究があり,軽度喫煙者で1〜2日,中等度者で3〜5日である。高度喫煙者でも1週間ぐらいの禁煙でおおむね検出不能になると考えられる。以上,今回調査した喫煙習慣判別検査は,被検者が喫煙している限り高い鑑別力を示す(特にコチニン値測定)が,一旦喫煙を中断されると比較的短期間のうちに検出不能となるので選択実務上に問題が残り,保険医学的にみて必ずしも理想的とは言えない。今後この面での更なる研究開発が望まれる。