著者
塩田 勝利 舩田 正彦 岡田 剛史 西嶋 康一 岩村 樹憲
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本邦でもcaffeine中毒を呈する例が増加しているが、caffeine中毒に対する治療は対症療法しか存在しない。そこで我々はcaffeine中毒の薬物治療法を確立するため、caffeineによる高体温及び行動量増加をcaffeine中毒の指標として選択し、これらを抗精神病薬であるrisperidoneが抑制することを報告した。さらにこの作用はrisperidoneの5-HT2A受容体拮抗作用によるものと報告した。Caffineは興奮性薬剤の一種であり、違法性興奮性薬剤のcocaineと意図的に併用されたり、cocaineの混合物として使用されることも多い。そこで今回我々はcaffeine毒性のさらなる研究として、caffeineとcocaineを併用した場合にcocaine毒性が増強されるか実験を行った。Wistar系雄性ラットの頸部皮下にNano Tagを埋め込み、体温及び行動量の測定を室温24度の条件下で行った。Caffeine10㎎/kg、30㎎/kgまたは生食とcocaine30mg/kgと併用したところ、caffeine投与群は用量依存的にcocaineによる行動量増加を増強する傾向にあった。またcocaineを投与すると体温は上昇するが、caffeineを併用するとcocaineによる最高体温には影響を与えないものの、cocaineによる体温上昇を遷延させる傾向であった。これらの結果からcaffeineはcocaineの中毒症状を増悪させると推測された。我々はcocaineによる高体温をrisperidoneが抑制することをすでに明らかにしている。そのためcaffeineとcocaine併用による高体温や活動量の増加に対してもrisperidoneが有効であることが示唆された。