著者
桐生 拓司 松井 英介 塩谷 真由美 星 博昭 酒井 聡 下川 邦泰
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.49-53, 1996-02-20

症例は47歳男性.1976年多発性肺軟骨性過誤腫のため腫瘍摘出及び中葉部分切除術を施行された.その後無症状で経過していたが, 1994年7月上気道炎のため近医を受診した際, 胸部異常影を指摘され当院放射線科紹介となった.画像上右胸壁を基底として胸腔内に大小結節状に進展する腫瘤影及び中葉に結節影がみられた.エコー下針生検にて軟骨の増生像が認められ, 軟骨性過誤腫の再発と診断し, 同年12月13日手術を施行した.多発性肺軟骨性過誤腫は稀な疾患で, 内外で15例が報告されているにすぎない.本疾患の特徴として, (1)若年発生であること(平均発症年齢34.3歳)(2)再発が高率(6/15 40.0%)で, 再発までの期間が長いこと(平均期間12.7年)(3)若年女性で胃平滑筋腫瘍, 副腎外傍神経節腫を合併することがあること(肺軟骨性過誤腫を含めたこれら3疾患は"Carney syndrome"として報告されている)を挙げることができる.