- 著者
-
阪本 州弘
若林 一郎
吉本 佐雅子
増井 秀久
勝野 眞吾
- 出版者
- 一般社団法人日本衛生学会
- 雑誌
- 日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
- 巻号頁・発行日
- vol.46, no.2, pp.635-638, 1991
- 被引用文献数
-
4
柔道や空手など古武道では冬期に川原で寒稽古を行い筋力の増強に努めている。運動と寒冷刺激がテストステロンおよび他のホルモンレベルにいかに影響するかを19才の男子,32名について検討した。<br>自転車エルゴメータによる運動負荷(90watt)によりテストステロン(TS)濃度は20.8%上昇したが,黄体形成ホルモン(LH)はほとんど上昇しなかった。ノルアドレナリン(NA)のレベルは140.0%有意に上昇した。一方,冷水負荷ではTSは10.0%減少し,LHは22.1%上昇し,NAは23.8%減少した。個人で負荷によるホルモンレベルの変化量の関連性をみると運動負荷ではLHとTSとはr=0.40,またTSとNAとはr=0.48の有意の相関がある。冷水負荷ではTSとLHとではr=0.40,TSとNAとではr=0.43であった。<br>これらの結果は,運動はLHとNAの血清濃度の上昇によりTS濃度を上昇させる。しかし冷水負荷ではこの傾向が見出せなかった。