著者
増本 英男 賀来 満夫 荒木 潤 浅井 貞宏 高田 俊夫 窪田 芙佐雄 松尾 武 池田 高良
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.1087-1091, 1989-09-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
12

症例は66歳, 男性. 胸部X線上, 縦隔腫瘤影の増大を指摘され, 来院. 手術にて右心縁に接する15cm大の胸腺嚢腫が摘出された. 嚢胞液の性状は灰白色混濁した, 蛋白0.5g/dlの漏出液であった. 本例において最も興味深いのは血清CEAが2.1ng/mlに対し, 嚢胞液中のCEAが223.2ng/mlと異常高値を示したことであった. 免疫組織化学による検討では, 嚢胞内腔を被う上皮細胞及びハッサール小体の一部にCEA陽性細胞が認められた. 今後の症例の集積が必要であるが, 少なくとも嚢胞液中のCEAが高値でも悪性を示唆する所見はみられないことより, このCEAはCEA関連抗原の可能性もあるように思われた.
著者
増本 英男 飯干 宏俊 脇坂 ありさ 谷口 治子 芦谷 淳一 伊井 敏彦 迎 寛 松倉 茂
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.34, no.11, pp.1277-1282, 1996-11-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

症例は52歳, 女性. 急に咳嗽, 高熱, 喘鳴, 呼吸困難が出現. ペニシリンやセフェム系抗生剤に反応なく, 緊急入院となった. 室内空気下でPaO249.8Torr. 胸部X線では小粒状影, 胸部CTではびまん性に小葉中心性の微少結節と気管支壁の肥厚を認めた. マイコプラズマによる急性細気管支炎を疑い, ミノサイクリンを開始後, 胸部CT上の小結節は消失した. その後血清学的にマイコプラズマ感染症と診断できたが, 低酸素血症が遷延し, 閉塞性換気障害の存在 (1秒率62.8%), 換気血流シンチの異常などより, 閉塞性細気管支炎への進展を疑った. TBLBや気管支造影では確診は得られなかったが, メチルプレドニゾロン1g 3日間, その後プレドニゾロン40mg/日投与により低酸素血症, 肺機能, 換気血流シンチは改善した. 閉塞性細気管支炎への移行が疑われ, 早期のステロイド投与が有効であったマイコプラズマ急性細気管支炎の1例を報告した.
著者
増本 英男 須山 尚史 荒木 潤 浅井 貞宏 南 寛行 池野 雄二
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.247-252, 1991-04-20
被引用文献数
18

患者は63歳,男性.約10年前より肺結核腫として観察されていた陰影が急速に増大してきたため入院となった.右上葉S^2を中心とする巨大な腫瘤で,右肺全摘出術が施行された.腫瘍は卵巣などにみられる嚢胞腺癌に類似した形態をとっていた.この興味ある腫瘍の組織発生に関しては,気管支腺よりも気管支表面上皮の杯細胞由来が示唆された.