- 著者
-
加藤 雅彦
伴 和幸
- 出版者
- 日本野生動物医学会
- 雑誌
- 日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
- 巻号頁・発行日
- vol.28, no.2, pp.129-134, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
- 参考文献数
- 21
本調査は,ある動物園において給餌される7種の一般飼料の表面と肉食獣に給餌される野生のニホンイノシシ5頭および野生のヤクシカ5頭のと体の表面について,一般生菌数および大腸菌群数を明らかにし比較した。なお,と体給餌は,生物資源の活用,環境エンリッチメントおよびそれらに関する教育のために試行された。これらのと体は,と体処理施設において消毒されていた。一般飼料の一般生菌数は1.96 log cfu/cm2から5.72 log cfu/cm2までであり,大腸菌群は4種の飼料から検出された。ニホンイノシシと体の一般生菌数は,胸部が1.52 log cfu/cm2から4.70 log cfu/cm2までであり,肛門周囲部が1.79 log cfu/cm2から6.00 log cfu/cm2を超えるものまであった。大腸菌群は,胸部が3頭のと体から検出され,肛門周囲部が3頭のと体から検出された。ヤクシカと体の一般生菌数は,胸部が0.20 log cfu/cm2から2.08 log cfu/cm2までであり,肛門周囲部が1.41 log cfu/cm2から3.46 log cfu/cm2までであった。大腸菌群は,胸部が1頭のと体から検出され,肛門周囲部が3頭のと体から検出された。これらから,一般生菌数および大腸菌群数で比較すると,対象園において給餌される一般飼料と野生動物のと体とは大きな差がなかったと考えられる。